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与太郎文庫
by 与太郎
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■ PEP 〜 中川 秀雄とその世界 〜
Ex libris Web Library;東京の夜に泣いている
── 大本 恭敬・詞&曲/森岡 賢一郎・編曲《東京の夜に泣いている 1970.... 東芝》
http://blogs.yahoo.co.jp/rahyale/34006226.html
古城 たかし 歌手 194.‥‥ 京都 /籍=?/古城 たかしとブル・ータッシュ
── 曲谷 守平・監督《東京の夜は泣いている 19610322 新東宝》松尾 和子・唱
http://movie.walkerplus.com/mv28318/
「珍らしい男を紹介しよう」といって某氏が電話をかけてきたのが、
昨年の春である。その前に、彼に関する予備知識を吹きこんでおこう、
といったにもかかわらず、機会のないまま、某日、某喫茶店で初対面と
なった。
このとき、彼中川秀雄は、名刺を出さなかったが、それもそのはず、
これから新会社を設立して、みずから社長に就任する、というのが、そ
の日の主な用件だった。
口数のすくない彼に対して、私はちょうど二十の扉みたいに、ひとつ
ひとつ質問を重ねることを考えた。ところが、彼と紹介者のやりとりを
聞いていると、私の思惑にはおかまいなく、すでに私がその新会社のメ
ンバーとして、いうなれば既成の事実として、語られていた。なかなか
面白いじゃないか、と私はヒザを乗り出した。
「それで、何をやるのですか」
「レコードを、創ります」と即座に中川氏は答えた。
「つまり、アングラ・レコードですか」
「いや、マイナー・レーベルです」
「ははあ、どうやって作るんです」
「それは私に任せてもらいます」
「すると、私は何をやればいいんです」
「何か、の時には協力してください」
「さしあたり、どうしましょう」
「設立登記書に判を押して、印鑑証明をあげてください」
まったく、簡潔な応答で、すべては中川氏のペースで進行したわけで
ある。紹介者に対する私と彼の信頼が、おそらく充分だったこともあり、
私の想像もおよばない思考と意図が、彼の頭脳を満たしているにちがい
ない、と判断せざるを得なかった。
まもなく《ペップ・ミュージック・サービス株式会社》が発足し、そ
の第一作のLP盤《バイキング・シリーズ第1集》が完成したらしい。
らしい、というのは、あれ以来、私はPEPのことを思いだすこともな
く、その事務所を訪れる用件もなかったからである。
暑い日、中川氏から電話がかかってきた。
「写真を撮ってもらえますか」
「何を撮るんですか」
「古城たかしとブルー・タッシュです」
数年前から私は、自分でシャッターを押すことをやめていたが、二三
の状況から、三脚をかついで出かけることになった(19700806 10:00)。
真夏の太陽のもと、熱い石段を舞台にして私は、彼らひとりひとりの
顔をフイルムにおさめ、中川氏はコカコーラを運んできた。
「来春早々に、彼らのレコードが出ます」
「マイナー・レーベルですか」
「いや、メジャー・レーベルです」
「ははあ、PEPはナベ・プロみたいなこともやるんですか」
「いえ、プロダクションではないんです」
「よくわかりませんな」
「そのうち、わかっていただきます」
乱暴な話である。どだい、マイナー・レーベルそのものが、なぜアン
グラ盤ではないのか、その区別もつかない私は、はじめて訪れた事務所
で、PEPの最初のLPを見せてもらった。ジャケット裏の、荒川洋氏
の解説を読んでも、まだよくわからなかった。以下はその大意である。
…… ここにバイタルなパワーを持った、ひとりの青年がいる。関西と
いうより、日本のアマチュア軽音楽界をリードし、育ててきた青年であ
る。彼の影響を、すくなからず受けているグループに、タイガース、
フォーク・クルセダーズ、シューベルツ、ザ・ダーツ、そして高田恭子
など、その数はあまりに多い。
アメリカの場合、数年前からの傾向としてレコードの製作は、メージ
ャーからマイナーへの推移が目立ちはじめ、現在数しれぬほどのマイナ
ー・レーベルが、ひしめきあっている。メージャー・レーベルでは、新
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08月01日(日)
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