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Kenの日記
by Ken
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■スリランカ大統領交替
8日に投開票が行われたスリランカ大統領選挙で、現職ラジャパクサ大統領の3選阻止を目指して立候補したラジャパクサ政権保健相のマイトリパラ・シリセナ氏(63)氏が当選しました。ラジャパクサ大統領が敗北を認め、今夜中にも大統領宣誓式が行われる模様です。
今回の大統領選挙は選挙終盤になって非常に接戦模様となりました。基本的には民族紛争勝利・終結の実績を誇る現職のラジャパクサ氏の優勢が伝えられていましたが、対立候補のシリセナ氏の清潔さ・誠実さが次第にスリランカ国民の人気を得ていったようです。逆にラジャパクサ大統領には身内びいきの政治運営・不正(裏金)の噂が付き纏った結果、シンハラ人を含めたスリランカ国民から思わぬシッペを食らった格好となってしまいました。
スリランカの選挙区毎の得票状況をみてみると、北部ジャフナ地区、東部バティカローラ地区等タミール人口の多い地域では圧倒的に「シリセナ氏」の得票が高く、ラジャパクサ氏は出身地のハンバントタを筆頭に南部・中部の農村地帯で得票を伸ばしました。都市圏のコロンボ・キャンディなどでは若干ラジャパクサ氏がリードしつつも、タミール・モスリムの批判票がシリセナ氏に回りほぼ均衡というところでしょうか。
民族紛争の敗北側のタミール人にとっては今回の大統領選挙は、どちらの候補者もシンハラ系という選択肢の無い選挙でした。従って投票挙ボイコットで低投票率が心配されたのでした。しかしそのようなタミール人の気持を汲み取ったシリセナ候補に対してタミール人の票が集まった模様です。
スリランカは内戦終了後にそれまで遅れていたインフラ整備に資金を集中的に投下してきました。コロンボと空港・コロンボと南部ゴール地区を結ぶ高速道路が整備されたほか、ラジャパクサ大統領出身地ハンバントタには国際航路用の港湾と国際空港が整備されつつあります。後者はインド洋に中継拠点を確保したい中国と出身地ハンバントタを開発したいラジャパクサ大統領の思惑が一致した結果でした。今回大統領がシリセナ氏に代わることで、これまでの急激な開発のテンポを少し落ちるのではないかと思われます。そしてスリランカ政府の視点が民族紛争で疲弊した北部・東部の再建に、また都市部での貧富格差拡大対策に向けられると良いと思います。
今回の選挙では、スリランカの選挙に付き物の暴力事件・テロ行為などの犯罪が抑えられ、かなりの得票率に達したことはスリランカ国民の勝利だと思います。軍は最後まで中立を守りました。国営放送局が大統領寄りの報道をしたことは反省の余地が有るにしろ、民族紛争終了後のスリランカで平和的な選挙が行われ、国民の意思が見事に反映されたことは有意義だと思います。
01月09日(金)
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