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Kenの日記
by Ken
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■原油価格低下
ニューヨークの原油先物価格が1バレル50ドルを割り込んでいます。昨年の春には1バレル100ドル以上していたのですからその半分以下となっている状態です。これは経済発展エンジンであった中国経済の減速からくる需要低下とシェールガス採掘技術等の進歩に伴う供給増加があるとのいうことです。OPECがアメリカシェールオイル産業を痛めつけるために減産せずに供給しているようですが、アメリカには痛手になっていないようです。

そしてここに来てまた新たな供給拡大が検討されているようです。共和党が勝利したアメリカ議会ではカナダ産原油をメキシコ湾岸にある製油所に運搬するためのアメリカ縦断パイプパイプライン建設を許可しようとしているのす。この提案は2008年に認可申請されていたのですが、議会で賛成を得られずにこれまで日の目を見なかったのでした。オバマ大統領が拒否権を発動しなければこの建設は急ピッチで進められます。

現在メキシコ湾岸の製油所では中東産(OPEC)の重質原油を輸入して精製を行っているのだそうですが、カナダ産重質原油が安く輸送されることになるとOPEC諸国にとっては更に供給先が減ることになります。カナダの原油はオイルサンド形態ではあり精製にこすとがかかりこれま開発が遅れていたものの、世界有数の埋蔵量があるのだそうです。既存の製油施設に送ることが出来るようになると、中東より輸送距離は短いので原油採掘が商売として成り立てくるというのです。

日本が第二次世界大戦でアメリカと戦うこととなったのはアメリカが日本に対する原油の輸出を禁止したからでした。原油調達はその国の産業を支える最も重要な要素の一つです。アメリカは第二次世界大戦後OPECが支配することとなった原油マーケットでの主導権を奪回すべくシェールガス採掘技術を完成させ、カナダ産オイルサンドの活用にも着手しました。日本・ヨーロッパが中東・ロシアのエネルギーに頼る体制を横目に見ながら自らのエネルギー確保戦略に長期計画を着々と進めてきたのでした。このような原油マーケットを眺めるとアメリカ経済の底力(株高)には驚くばかりです。
01月07日(水)
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