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Kenの日記
by Ken
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■原油価格が急激に下落
原油価格の急激な下落が止まりません。今日はWTI先物の原油価格が1バレルで55ドルにまで下落しました。昨年12月の平均価格が訳98ドル程度なので、原油価格は昨年同時期に比べて4割強下がりました。昨年12月のドル/円が105円程度なので今日の相場117円なので為替相場では1割強円が下がっています。為替変動も相当大きいですが原油価格の変動はその数倍の下落です。
アメリカのシェールガスの採算ラインが1バレル60ドル〜70ドルだということなので、今アメリカのシェールガス業者は体力の無い企業から経営が厳しくなっていることでしょう。将来のキャッシュフロー不安から株価は下がり資金借入実効金利は上昇しているはずです。こうした産業の疲弊がアメリカ経済に与える影響がどれ程大きいのか。ガソリン価格が下がる分の消費者購買力増加の効果が大きいのかもしれません。
アメリカは他の先進国よりガソリン価格に占める税金の割合が少ないので、原油価格変動はガソリン価格に直接的に影響を与えます。しかしシェールガス企業がポロポロと破綻をきたし始めるとアメリカ国民のプライドは大きく傷つけられます。サウジアラビアの意図的なシェールガス産業潰しが図に当たると、アメリカの中東戦略において新たな敗北となってしまいます。
問題は中長期的に原油価格が安定的に50〜60ドル程度で推移するのかということです。アメリカのOPEC対抗のためのシェールガス掘削抽出技術は更に進歩するのではないでしょうか。ロシアとかベネズエラとか余力のない産油国が悲鳴をあげる中、アメリカも徹底的に対抗してくることが予想され、シェールガスの採算ラインは徐々に下がっていく可能性はあります。この可能性はそれほど小さいとは思えません。それは技術革新んいよるエネルギー価格の下落です。
そうした状況では資源の無い日本がこれまで進めてきた脱化石エネルギーの「原子力発電所」「再生可能エネルギー」による発電への投資は非常に厳しくなります。ハイブリッド・非ガソリンエンジン自動車などの開発投資も採算が取れなくなる可能性があります。現在ハイブリッド技術では日本企業が先頭を走っていて、ヨーロッパもアメリカもハイブリッドでは出遅れています。むしろディーゼルエンジンの燃費向上の方向が主流のようです。日本でもマツダ自動車はそちらの方向です。「シェールガス革命」の狙いのひとつに日本の自動車産業の押さえ込みがあるのではないかしら。
12月16日(火)
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