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Kenの日記
by Ken
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■日中首脳会談(その3)
岸田外務大臣が11日の記者会見で、中日間の「四つの原則的共通認識(11月7日)」に対する質問に対して「尖閣に領土問が存在しないという日本政府の立場には変化がない」と答えたということです。7日の「四つの原則的共通認識」を確認することによって10日の日中首脳会談が実現しました。正式文書には「尖閣諸島領有権」とは書いていませんが、「東シナ海の緊張状態に関して見解の相違がある」と書いている以上、その原因となっている「領有権」に関する見解に相違があるとハッキリ言わなくとも透かして見ればそのように見える表現でした。私はこれを契機に政府はこれまでの主張のトーンを下げ、少しづつ方向修正を行っていくものと思っていました。この予想は崩れました。外務大臣が阿倍首相の真意を代弁したのだと思いますが、日本はこれまでの主張を繰り返すこととなりました。

中国(駐日中国大使館)は12日以下の反論を行いました。
「日本側の関連発言に対して、厳重な関心と不満を表します。釣魚島は中国の固有領土であります。中日双方が先日に発表した四つの原則的共通認識の中身と精神ははっきりとしています。近年来、日本側が中国側の釣魚島問題における立場を無視し、一方的な挑発行為をとったことは、当面釣魚島の緊張情勢の源であります。中国側が国家領土主権を維持する決意と意思は断固として揺るがないものであり、それと同時に終始して対話と協議を通じて釣魚島問題をコントロールして解決することに力を入れています。われわれは、日本側が歴史と事実を直視し、約束を守り、原則的共通認識の精神に基づいて中国側と向かい合って行動し、釣魚島問題において言動を慎み、中国の領土主権を損害するすべての行為を中止するよう、要請します。」

日本の外務省の「交渉の巧みさ」はたいしたものです。「曖昧・意味不明」な確認文書によって7日には日中首脳会談の約束を取り付け、その会談開催直後の11日には文書の真意を自分達の都合に合わせて解釈して「日本政府の立場従来と全く変わらない」と世界中に宣言しました。外交テクニックでは満点を取れるのではないでしょうか。

海外のメディアは今回の日中間の妥協を「agree to disagree」という言葉を使って報道しました。「agree to disagree」という認識は現在の日本政府の立場を危うくするものではないと思います。アメリカがはっきりと証言するように「尖閣列島の施政権」は日本にあることは明らかなのですから。世界は日本の態度変更を一旦は歓迎して受け入れたものと思われます。しかし日本政府は「disagree to disagree」に戻してしまいました。

第二世界大戦時の日本政府の判断ミスはいくつもありますが、その中でも重要なものは「ポツダム宣言」に対する「黙殺行為」だと思います。13箇条の非常に明確な外交文書に記載されたことを日本政府は軽んじました。その結果「広島・長崎への原爆投下、ソ連の参戦」という国民に甚大な被害を及ぼす状況を招いてしましました。もしポツダム宣言(7月26日)を即刻受け入れていれば、何十万の日本人の命が救われていたし、不幸なソ連への強制抑留という事態を避けられたと思います。外務省の「言葉」を自分勝手に解釈する外交は永遠に不滅のようです。
11月13日(木)
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