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Kenの日記
by Ken
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■日中首脳会談実現
今日、中国習近平主席と日本の安倍首相の日中首脳会談が行われました。日中首脳会談は2011年12月の野田佳彦首相と胡錦濤国家主席の首脳会談以来約3年ぶりだそうです。北京のAPEC首脳会談に参加する阿倍首相がホスト国の習近平主席と会談することは別に違和感は無いことですが、この首脳会談を実現するために事前に相当の根回しが行われたようです。

その最も重要な部分が「尖閣列島に関する見解」歩み寄りでした。中国は野田政権が日本の領土として国有化した尖閣列島の「領有権」についての見解を、「田中・周恩来会談」当時の状況の「解決は将来世代に託す」に戻すことを首脳会談の条件としていました。阿倍首相は「尖閣列島は日本固有の領土であり、領有権問題は存在しないと言い続けてきました。今回果たしてその「見解はどのように埋めたのか」。日本政府は11月7日金曜日に「日中関係の改善に向け,これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが,今般,以下の4点につき意見の一致をみた。」という見解を表明しました。それが今回の首脳会談開催の条件だったと思います。合意事項の3番目の項目で尖閣問題を扱っています。

「3.双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。」
Both sides recognized that they had different views as to the emergence of tense situations in recent years in the waters of the East China Sea, including those around the Senkaku Islands, and shared the view that, through dialogue and consultation, they would prevent the deterioration of the situation, establish a crisis management mechanism and avert the rise of unforeseen circumstances.

「領有権」という単語は使わずに「尖閣列島海域に緊張状態が生じていることに関して異なる見解を有していると認識する」ということで決着をみたようです。日本政府としては「領有権問題を回避できた」としているのでしょうが、「(どのような見解であれ)中国が異なる見解を有していることを認識した」のですから、中国の領有権棚上げ論主張に対して反論するような議論は今後は不味いことになります。

但し「見解の相違を解決する行為・努力」については合意文書では何も触れていません。現在の「見解相違の状態」がこれからもずっと続くことになります。意見の一致はそうした「見解相違状況下」での「不測の事態を回避することに努める」ことに留まりました。将来日中間にどんな懸案が発生するのか分かりませんから、その時の取引材料のために「書棚にしまっておく」ことが適切なのでしょう。しかし、それって周恩来・搶ャ平が言い続けたことと殆ど同じだと思いますけど。
11月10日(月)
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