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Kenの日記
by Ken
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■ナポリ3日目:カポディモンテの丘
「カピデモンテ美術館」
今日のナポリ観光はナポリ北部の「カポディモンテ美術館」です。ナポリの美術館といえば市内にある「ナポリ考古学博物館」と「カポディモンテ美術館」が双璧で、何れもナポリ国王(ブルボン家)家の「ファルネーゼコレクション」を見ることが出来ます。前回ナポリ旅行の際に「国立考古学博物館」でファルネーゼコレクションの「彫刻」を堪能したので、今回は「カポディモンテ美術館」訪問がナポリ訪問の最大の目的となりました。
しかし残念ながら「カポディモンテ美術館」は「ナポリ考古学博物館」ほどの感動を与えてくれるものではありませんでした。個人的感想をいうと「カポディモンテ美術館」は「堅苦しく、少し疲れる美術館」だというものでした。それは展示品の傾向に依るものだと思えました。「ナポリ考古学博物館」に展示されている数多くの「彫刻」はローマ時代に作られたギリシャ時代オリジナルの模刻です。「模刻」とはいっても技術力が高いので躍動感に溢れ精緻で力強いものでした。その種の彫刻を見て回ることは、驚きあり・感動有りの素晴らしい体験だったのです。
一方「カポディモンテ美術館」のファルネーゼ家の収集した絵画が主でした。人物画、風景画もありますが、精緻で上手い絵だとは思いますが多くは「写真替わり」の「絵画」の雰囲気があります。「看板作家」がいないというのも寂しいと思いました。そしてここでもルネッサンス後期以降の宗教絵画が多く展示されていました。「サン・マルティーノ美術館」、「ナポリ司教座美術館」の展示品と同じように、「暗い画面構成」の絵画が多くあります。題材も「気が滅入ってしまいそうな」ものが少なくありません。ファルネーゼ家の収集方針だったのしれませんが、見る人に「感動」「安らぎ」「浮きうきするような感動」を与える種類の絵画が殆どないと思いました。多くはありませんがルネサンス以前の古い時代の絵画に純粋な精神性をみることができると思いました。展示会場最後の方に「カラバッジョ」が一枚ありました。カラバッジョ独特の「光と影」の劇的効果を醸し出している名品だと思いました。
美術館のショップで収蔵品解説書を買おうと探しましたが、英文で手頃な値段の解説書はありませんでした。ショップで進められたのは70ユーロもする分厚い解説書でした。考古学博物館では12ユーロで英文解説書を購入してきたのに残念でした。こんなところは改善する必要があると思いました。美術館拝観の後は外の美しい庭園に出て気分転換をしました。高台にある美術館の庭からはナポリの美しい風景を見ることが出来ました。
「サン・ジェンナーロ・カタコンベ」
昨日から少し調子を落としていた妻が少し元気になってきたのでカポディモンテ美術館から程近い「サン・ジェンナーロ・カタコンベ」を歩いてみることにしました。カタコンベはロ−マ時代から中世にかけての教会・墓地です。それが地中や山の洞穴に作られているだけで通常のカトリック教会の構造と同じく「礼拝堂」があり「墓地」があることは同じです。カタコンベは山の低い場所から掘り進め、地中を掘り進んで上っていき、山注腹部に出て「空気・光」取り入れ口が作られています。見学は逆に山中腹から入ってカタコンベを下って入口に進み形式になっています。
カタコンベ内の通路の両側に作られている礼拝堂は裕福な人々の墓です。そして通路の壁には上から下まで穴が掘られていて丁度「棺」を収納できるような棚となっています。ここが中級の人々の墓。そして地面には多くの穴が掘られていますが、そこが最も貧しい人々の墓という訳です。ナポリビショップだった「サン・ジェンナーロ」の墓と礼拝堂も穴の奥にありました。
このような墓と礼拝堂を収める空間が山の中腹を刳り貫いて作られています。日本の墓地や現代の教会が平面的に、貴重な土地を占有していることに対し、このような形式の「カタコンベ」が非常に優れたものと思われました。高いビルの中に「墓地」を階層的に作ることも「一案」ですが、日本のような山の多い国では、山の下の地下空間の利活用を考えることはゆうこうだと思えました。ナポリの街で教会は見かけても「墓地」を見かけなかったのは今でもこのような思想があるからだと思われます。
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09月11日(木)
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