ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99163hit]

■「BRICS」首脳会議
ワールドカップが終わったブラジルでは「BRICS」(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国)の首脳会議が開催されました。何といっても日本を追い越してGNP世界2位の中国がいますし、人口でいうと中国・インド・ブラジル・ロシアで世界の4割に達するし、国土面積で行っても世界の3割を占めるグループなのです。そうしたグループが先進国とは一線を画して連携するというのは不気味ではあります。

嘗て先進諸国の幾つかは後発国を植民地化しその国の富を収奪して自国の発展に消費しました。日本の朝鮮・大陸進出もそれに当たります。BRICSの中のロシアは嘗ては先進国の仲間でしたが、広大な領土を保有するために領土拡張欲は小さかったのでした(不凍港獲得の欲はありましたが)。先進国のリーダのアメリカもイギリス宗主国から独立したという嘗て先進国によって苦しめられたDNAに持っている点では少し異色です。

先進国は富ばかりでなく植民地の文化財・芸術品も自国に持ち帰ってしまいました。典型的な例がイギリス・フランスです。かれらの文化財の多くはアジア文明あるいはギリシャ・ローマ文明のものです。一方で先進国が所有する現代の知的財産権(コンピュータのOSなど)はしっかり確保して発展途上国への利便の安価な流出を食い止めています。

発展途上国は植民地時代の苦悩をDNPの中にしっかり保持していると思われます。植民地時代に不当に搾取された損害は弁償されなければならない。また不当に持ち出された文化財・芸術品は返還されなければならない。そのような考え方は即座に否定できないと思います。先進国が嘗て享受した「機会」(植民地収奪・近代化の裏側での環境汚染など)は発展途上国には許されていません。先進国は「早い者勝ちルール」が厳然と存在していることを主張するのでしょうが、発展途上国は簡単にはそれを受け入れないでしょう。

「BRICS」が国の作りや思想の壁を乗り越えて、先進国に対して一枚岩となって「自分達のルール」での関係構築を求めてきたら現在の世の中は大きく変わることでしょう。中国が日本企業を訴えたように植民地時代の搾取の代償を求めるようになるでしょうし、文化財・芸術品の返還運動が起こるでしょう。嘗ての植民地時代に「民主主義が無かった」ように、この対立の構図にも民主主義はないかもしれません。あるのは「怨念」だけ。現実に日本と中国・韓国の間は早くもそのようになっています。
07月17日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る