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Kenの日記
by Ken
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■アメリカ副大統領訪中
4日に行われたバイデン米副大統領と中国習国家主席とのトップ会談は、相当長時間行われたようですが、結果的には大国同士お互いの言い分を尊重する形で激しい対立トーンとならない紳士的なものであったようです。訪中に先立って日米トップ会談が行われたのですが、日本の安倍政権をはじめ尖閣国有化した民主党の政治家さんも含めて、バイデン副大統領から「威勢の良い」中国への主張を聞きたかったのでしょうが、その期待は完全に裏切られました。

やはり中国とアメリカは経済力・軍事力を背景に全世界に大きな影響力を行使できる実力を持った大国であり、世界全体の情勢を自分と関係する問題として長期的・戦略的視野で捉え、相手の実力を冷静に認識して上で冷徹に渡り合ったのだということが分かります。残念ながら日米安保条約の傘に下で、テロとの戦いにおいても核兵器拡散問題においても自主的な立場を取れない日本とは大違いであると感じました。

今回の一連の動きを見ても日本と米国は(特に日本は)お互いを良く理解しているのだろうかという疑問を感じてしまいます。古くは日露戦争後のポーツマス条約・鉄道王ハリマンの南満州鉄道の買収問題における日米の思惑の違い、第二次世界大戦の引き金となったアメリカの対日締め付け、近くはニクソンの電撃的な米中関係改善など、日本とアメリカのお互いへの理解が違っていたケースがあってそれは非常に大きな問題に発展したのでした。

日本はアメリカが送ってくるシグナルを読み解くことができないことが多く、アメリカは日本が柔軟かつ理性的に対応できる西欧並みの成熟した国だと考えていると思います。過去からの日本の指導者全てがそうだとは思いませんが、マスコミ・世論も含めて日本が米国の対応を誤解してとんでもない方向に突っ走る危険性を持っていることは自戒すべきだと思います。

今回も日本はアメリカの対中戦略をもう少し冷静に評価する必要があったと思います。アメリカのシグナルの出し方も下手だったと思いますが「回答無し、態度をはっきり表明しない」ということは賛成ではないということです。日本の尖閣列島領有権を認めていないアメリカは中国の領有権主張に基づく防空識別領域設定に関して「No」とは言えません。言えることといえば日本・中国両国主張で防空識別領域の重なりが発生してしまったならば、平和的な運用ルールを確立するよう両国に働きかけること程度が精一杯でした。

こうなった以上は過去の「苦い経験」を思い出して、力と力の対決ではなく、日本の存在理由でもある「平和的手段」によって自ら率先して国際紛争を解決したいものです。(以下憲法前文後段を引用)

We desire to occupy an honored place in an international society designed and dedicated to the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance, for all time from the earth.
12月05日(木)
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