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Kenの日記
by Ken
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■Fortified Wine(酒精強化ワイン) マンサニーリャ

歌劇カルメンでカルメンの歌に出てくる「マンサニーリャ」。スペイン南部の特定の地域で生産されるシェリー酒の一種です。シェリー酒はアルコール濃度を高めたワインでこのワインもアルコール濃度は15%。しかし非常にフルーティで美味しいワインでした。
ワインの醸造過程でアルコール(通常はブランデー)を添加することでアルコール度数を高めたワインがフォーティファイドワインです。アルコール度を高めることでワインの酸化・腐敗を遅らせてワインの保存性が向上するため、長期間の航海時などで船に積んでいく、あるいは遠方への輸出などに適しているために主に港町近辺で作られてきたようです。
「3大フォーティファイドワイン」として、スペインの「シェリー」、ポルトガルの「ポートワイン」、「マデイラワイン」があるのだそうです。これらフォーティファイドワインは原産地呼称統制法によって、シェリー、ポートワイン、マデイラワインの名称は一定の地域の生産品しか用いることが出来ません。同じ葡萄・同じ製法でつくっても別の地域の生産品はこれらの名称を使うことはできません。日本では丁度「産地偽装」の問題がニュースになっていますが、あまり厳しい統制を課すと消費者の利益を損なう可能性もあり難しい問題をはらんでいると思います。
スペインの「シェリー酒」とはスペイン南部アンダルシア地方の「ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ」「サンルーカル・デ・バラメーダ」「エル・プエルト・デ・サンタ・マリーア」周辺地域で生産される酒精強化ワインを指します。アルコール濃度タイプによって、大きく「フィノ」(18度以下)、オロロソ(18度以上)に区別されるのだそうです。「フィノ」タイプのシェリーの中で特に「サンルーカル・デ・バラメダ」地域で作られるフィノは「マンサニーリャ」という名称を使用することができます。
ポルトガルの「ポートワイン」もポルトガル北部のドウロ川沿岸に産地が限定されています。原料となるブドウの品種は29種が推奨品種となっていて、発酵途中にブランデーを加えるため甘口となるのだそうです。日本の甘口のワインがかつて「ポートワイン」という名称を使っていましたが、今では使えないこととなっています。
最後は非常にユニークな「マデイラワイン」。モロッコの西600キロの海上にあるマデイラ島(ポルトガル領)で作られるもので、使用する葡萄品種、製法が厳しく限定されているとのことです。発酵させたブドウ果汁を樽詰めし樽ごと乾燥炉に入れて約50度で加熱処理(エストファ)した上で蒸留酒(通常のワインを蒸留したエタノール)を加えるのだそうです。マデイラ島は奄美大島と同じ位の大きさの島で非常に温暖な気候の山岳島だそうです。マデイラワインは奄美大島特産の「黒糖焼酎」を彷彿とさせますね。
11月09日(土)
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