ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99190hit]
■アベノミクス
昨年秋の衆議院議員選挙で安倍自民党が大勝してから、円価格の下落・株価の上昇が始まりました。それまで東日本大震災での追い討ちも含めて、リーマンショックによって引き起こされた世界不況に中で日本経済は長らく低迷を続けてきました。政権が変わったからといって実体経済に影響が現れるまでにはかなり時間がかかりますから、今回の円安・株値上がりは「三本の矢」を始めとする具体的な経済刺激策の効果の先取りであり、本当に経済再生が本格的に実現するかどうかは、それら施策の効果が本当に実体経済に現れてくるかどうかにかかっているといえます。
株価低迷・円高状況でかなりダメージを受けているため、個人的には今回の動きに期待しているところではありますが、懸念すべき事項が何点かあるので記載しておきたいと思います。
まず民主党政権から継続している中国・韓国とのギクシャク関係です。当面の経済再生という政治と長期的な国益とは別だと言えばそれまでですが、日本の経済再生において隣国の中国・韓国の存在は非常に大きいと思います。表面的な問題として中国からの観光客の数は最近大幅に減少していて、土産としての日本製品購入量は激減しているでしょう。政府・役所(外務省)は猛省すべきだと思います。「国内問題から目をそらすための外国への強硬姿勢」は、中国・韓国ばかりでなく日本でも行われているものだと思います。
次は日本の物価の水準です。「緩やかなインフレ」が好ましいのは分かりますが、その出発点として物価水準は果たして世界の中で妥当な水準かどうかということが気になります。アメリカの場合には雇用が流動的(終身雇用ではない)ことから経済停滞時には賃金調整が行われます。日本でもデフレで定昇凍結が続きましたから賃金の延びは抑えられたものの、果たしてサラリーマンの賃金の水準(特に中高年)は外国と比べて高いのか低いのか。またガラパゴス的な日本国内向け製品・サービスは国際競争力を回復しているのかどうか。長期的に「緩やかなインフレ」と両立する絶対的な水準の議論がないと不安にあります。
そのことと関係がありますが、日本の産業の競争力(品質と価格)が「緩やかなインフレ」の経済の中で成長していけるのかどうか。この議論もまだ始まっていません。アベノミクスの三本目の矢の「民間投資を喚起する成長戦略」ばかりが目立ちますが、市場を開放したら外国産物に席巻されかねない「農業」はどうしていくのでしょうか。外国との価格競争力のないまま国内産業を保護していては結局国際競争力は失われたままです。高齢化の進展、高い人件費・高額な医薬品で医療・介護分野の将来は確実に破綻することが見えていますが、これを解決しないで国民の生活は希望あるものとなるのでしょうか。
民主党政権が難しい問題にどっぷり嵌まり込んで、解決策を提示できなかったまま崩壊しましたが、自民党政権はそれらを一旦後回しにして景気浮揚から取り組み始めました。そしてそれへの期待だけによって一見「復活の兆し」があるように見えますが、本当は実態経済が効率化し活性化しなkれば経済再生は実現しないことをしっかり認識しておくべきです。
01月29日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る