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Kenの日記
by Ken
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■「Kilali Crossing」の日本語訳
スリランカの民族紛争を扱った小説「キラーリ・クロッシング」を少しずつ翻訳してきたのですが、そろそろ区切りをつけようと考えて思い切って日本語版の本に仕上げました。先月から新宿にあるオンデマンド印刷屋さんに相談して、一番安価な方法として原稿を全て「PDF」ファイルで持ち込み本を製作してもらったのでした。20冊で30000円ですから一冊1500円。少数部数すると割高にはなりますが大量にする性質のものでもないので、こんなところかなと思っています。
少しずつとはどういうことかというと、「原本の英語の文章に対して最も適した日本語訳を与えたか」ということに対して自信がないので時間がかかってしまったということなのです。こっちがベターだろうと思っていても、読み返すと「前の表現」の方がしっくりしていると感じたり、堂々巡りの状態が続いていたのです。日本語の文章として少し意訳するのが良いのか、英語の表現の特徴を生かして、少し硬くとも作者の雰囲気を出そうかとか、かなり悩まされました。そして自分でもこれ以上良くなることは考えられなくなったので(自分の力に限界を感じたので)、区切りをつけようと思った次第です。
原本が出版されたのが2002年頃ですのでそれから10年経ちました。小説の大きなテーマであった「スリランカ民族紛争」は2009年春に政府の武力制圧で終了しました。民族紛争の歴史を調べながら翻訳作業を進めてきた私には「スリランカ民族紛争」がこのような形で収束するとは予想ができませんでした。しかし小説にも書いてありましたが武力による紛争終結が本当の民族和解をもたらすのかどうか心配です。
スリランカに興味がある人が大勢いるとも思えませんが、興味がある方には読んで欲しいと考えています。英語が得意な方でなければ英文の小説をすらすら読むことにはならないので、小説のあらすじを追う程度には便利だろうと考えています。今ちょうどロンドンオリンピックが終わったところですが、作者が留学していたロンドンのことも記載してあってテレビで放映されるロンドンの町並みには興味が沸きました。
08月14日(火)
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