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Kenの日記
by Ken
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■ドゥダメルどうした?
2012年5月1日収録のベルリンフィルとのウィーンにおけるコンサートに引き続いて、6月7日ウィーンのシェーンブルク城で収録されたウィーンフィルとのコンサート模様を見ました(NHKBCプレミアム)。ベルリンフィルとウィーンフィルを1カ月の間に振るなどという凄い活躍となったドゥダメルですが、私の印象では「二つのオケとの演奏会の出来は両極端だった」という感を禁じ得ませんでした。
ドゥダメルはベルリンフィルとの演奏と同じように、何時もの笑顔をフンダンに湛えて、嬉しそうな表情を浮かべて指揮をしていました。ベルリンフィルの時と違うといえば「タキシード」を着ていることぐらいかしら。しかし、ウィーンフィルの演奏者はというと「ベルリンフィルメンバー」のように楽しそうに気持ちが表情に出ることは全く無く、多くの楽員は「しかめっ面」をしていました。楽員の指揮者を見る総時間も少ない感じでした。弦楽器の弓の「量」も心なしか少ないようで、身体を動かして演奏している奏者も少なく、演奏全体に全く躍動感がありませんでした。こうなるとドゥダメルでもどうしようも無いという感じでした。例えは良くないですがワレリー・ゲルギエフがN響に指揮台に登場して「展覧会の絵」を振ったときの後半のN響の演奏のようでした。
先日興奮して日記に書いた「ベルリンフィル」との演奏会が素晴らしいものであっただけに、「ウィーンフィル」との演奏はドゥダメルとしては不満が残るものでした。これはドゥダメルが悪いのかウィーンフィルが悪いのか。私の印象では、ドゥダメルとウィーンフィルの出会い方が悪かったのではないかと邪推しています。そうなってしまった原因をいくつか考えてみました。
○今日のプログラムは相性の良い「ゲルグエフ」が得意とするもので、ウィーンフィルとしては、ゲルギエフへの付き合いもあって燃焼を控えた。
○ドゥダメルの指揮法が「アッバード」にそっくりなので、ウィーンフィルのメンバーは、ふと昔を思い出して演奏に没頭することができなかった。
○団員人気はともかく、どんな指揮者でも必死に演奏するリーダ「キュッヒルさん」が不在であったため、楽団全体として指揮者とどう付き合うのか態度が曖昧なまま演奏会になってしまった。
前にも書きましたが、ベルリンフィル、ウィーンフィルそれぞれの運営上の特徴があり、それぞれが物凄いレベルのオケですが、どうも最近ベルリンフィルの方が元気が良い気がします。ウィーンフィルがこれからどうなっていくのか少し心配です。因みにプログラムは以下の通りでした。
1. チャイコフスキー:ポロネーズ《エフゲニー・オネーギン》
2. ムソルグスキー:ペルシャの奴隷たちの踊り《ホヴァンシチナ》
3. ボロディン:ダッタン人の踊り《イーゴリ公》
ドビュッシー:交響詩《海》3つの交響的素描
4. T.海の夜明けから真昼まで
5. U.波の戯れ
6. V.風と海との対話
7. R.シュトラウス:7つのヴェールの踊り 《サロメ》
8. ポンキエッリ:時の踊り 《ラ・ジョコンダ》
アンコール
9. ヒメネス:間奏曲 ― サルスエラ《ルイス・アロンソの結婚式》から
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:グスターボ・ドゥダメル
録音: 2012年6月7日 ウィーン、シェーンブルン宮殿
07月16日(月)
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