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Kenの日記
by Ken
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■スカラ座のドン・ジョヴァンニ
NHKBSプレミアムで、12月7日に収録された「ミラノ・スカラ座歌劇「ドン・ジョヴァンニ(初日)」の放送がありました。収録しておいて見ました。バレンボイムが正式に音楽監督となって初めての公演であり、ネトレプコがドンナ・アンナを歌うということで、話題の公演で我が家でも年末の大きな音楽イベントと位置づけていました。シーズン初日ということで客席にはイタリア大統領・首相などのVIPが陣取り、イタリア国歌の演奏から始まりました。気合は十分という感じでした。
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(全2幕)
(ドン・ジョヴァンニ)ペーター・マッティ
(騎士長)ヨン・クワンチュル
(ドンナ・アンナ)アンナ・ネトレプコ
(ドンナ・エルヴィーラ)バルバラ・フリットリ
(ドン・オッターヴィオ)ジュゼッペ・フィリアノーティ
(レポレルロ)ブリン・ターフェル
(ツェルリーナ)アンナ・プロハスカ
(マゼット)シュテファン・コツァン
(合 唱)ミラノ・スカラ座合唱団
(管弦楽)ミラノ・スカラ座管弦楽団
(指揮)ダニエル・バレンボイム
しかし結果的には私達(私と妻)の期待は完全に裏切られたという感じでした。「CDやブルーレイに焼いて今後も何回も見たい」という公演ではありませんした。むしろ昨年暮れに話題となったフルトヴェングラーのドンジョヴァンニを取り出して見比べることとなりました。もちろんフルトヴェングラー版の方が数段上ですが。
今回の注目点の第一は「怖いものみたさ」に近いものでしたが、結婚して出産したネトレプコはどんな容姿を見せてくれるだろうかということでした。かなり太ったという噂を聞いているものの、スカラ座シーズンに向けて身体を絞って準備しているはず(勝手な期待)。しかし最初に登場した「ドンナ・アンナ」は顔も身体も丸々と太ったネトレプコでした。
オペラ歌手に容姿を期待するのは無理とは分かっていますが、何十年かに一人位は「歌が上手で、演技が旨くて、見栄え抜群」というソプラノが現れると信じているし、ネトレプコはカラス以来のスーパーヒロインになる可能性を十分備えていると考えていました。しかしロシアの女性が歳をとると太るのが一般的と言われるそのままにネトレプコも太ってしまいました。これからネトレプコがダイエットに目覚めて嘗ての容姿を取り戻すことができるかどうか。難しいとは思いますが期待しています。
他にもかなり多くの不満が残りました。まずフリットリの「ドンナ・エルヴィーナ」の役作りがしっくりきませんでした。歌はともかくとして、仕草や表情が過剰で、しかも服を脱いで肌を見せる場面が多すぎるのです。ドン・ジョヴァンニへの恋心を忘れられないけれどドン・ジョヴァンニを救おうとする「生真面目で可愛らしい女性像」を期待したのですが、表現過剰な多感な女性像となっていました。
女性の描き方でいうと、ドンナ・アンナ、ツェルリーナもそして「ドンナ・エルヴィーナの召使」の3人の女性とも「絡みの場面」だけが過激に表現されていたように思えました。ちょっと「やりすぎ」という感じでした。エルビーラの召使を裸にする必要などあったのかしら。
また演出で言うと、舞台装置や小道具をほとんど用いない舞台なので、ストーリー展開上「?」となる場面が多々ありました。例えばレポレッロが有名な「女性遍歴記録帳」を持たずに壁に「正の字」を書いて記録しているところなど、小さな小道具なのですから「記録帳」を準備しても何の不都合もないと思われました。「騎士長の像」を作らずに本人そのままに歌わせ、挙句のあてに騎士長とドン・ジョヴァンニが最後に剣でチャンバラをしてドン・ジョヴァンニが刺し殺されることになってしまう。更にに死んだはずのドンジョバンニが最終場面で再び登場するなど、どのように解釈すべきなのか理解に苦しむ演出が多々ありました。もし「深い意味」があるのなら教えて欲しいと思いました。
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12月26日(月)
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