ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99206hit]

■N響&ゲルギエフ演奏会模様
11月から日本公演をしているワレリー・ゲルギエフですが、11月30日にはマリインスキー歌劇場オケとの共演の合間をぬって、NHK交響楽団の指揮台に立ちました。文字通り指揮台に立っていたのであり、マリインスキーオケとの共演時のように「指揮台なし+弦トップに迫っての煽り」という構図をN響が嫌がったとしか思えません。演奏曲目は以下のとおり。


芥川也寸志/弦楽のための三楽章「トリプティーク」
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番
チャイコフスキー/交響曲 第6番「悲愴」

NHK交響楽団+ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
アレクサンドル・トラーゼ(ピアノ)
11月30日 NHKホール

NHK交響楽団とゲルギエフ共演ですが、多分面白く無いだろうという予想がありました。以前同じ組み合わせで「展覧会の絵」をテレビで見ましたが、最初こそ「今日のN響は違うのか」と思わせながら、途中からNHK交響楽団のいつもの音楽に戻ってしまったという残念な記憶が残っていたからです。そんな先入観を持ちながら聞いた「芥川、プロコフィエフ」はやはり同じ印象でした。プロコフィエフではピアニストのトラーゼが物凄い熱気でピアノを弾いているのに驚きましたが。

メインの「悲愴」も2楽章までは同じ印象でした。弦楽器はゲルギエフに食らい付いていますがオケ全体としては、ゲルギエフの細かい指示に対して反応が鈍く表現の幅が小さいのです。ところが3楽章後半からNHK交響楽団全体の反応が変わってきました。コンマスの奮闘に触発されたのか、オケ全体がゲルギエフの要求に反応して自分達の音楽の幅を広げ始めたのでした。そうなれば元々名手を集めたN響ですから、各楽器がお互いに刺激しあって音楽全体が非常に大きなものとなって行きました。

ゲルギエフ得意の4楽章は、3楽章の熱気をそのまま維持しながら始まりました。こんなに柔軟で生き生きした演奏を聞かせるN響は久し振りです。最後はゲルギエフ独特の長い「ppp」でオケも会場も緊張し、ゲルギエフの音楽終了の呼吸の後は盛大な拍手・ブラボーの嵐でした。

ひとつ残念だったのは、4楽章最大の聞かせ所でゲルギエフが更に大きな「音圧」を要求したのですがN響がそれに応えられなかったことでした。6日にきいた「マリインスキー歌劇場オケ」は「1812年」でも「展覧会」でも、弦楽器・管楽器とも、これでもかというほどの盛り上がりを聞かせてくれました。多分ウイーンフィルもゲルギエフの要求に応えて名演を創り出したのでしょう。弦楽器群の弓の「幅・スピード・圧力」「管楽器全体の馬力」においてNHK交響楽団にはそれ以上の余力がありませんでした。やはり日頃のオペラ伴奏によって体力が鍛えられているオケとは違うのでしょうか。
12月12日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る