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Kenの日記
by Ken
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■所沢ミューズ:マリインスキーオケ&ゲルギエフ
6日所沢のミューズアークホールでゲルギエフ指揮、マリインスキー歌劇場オーケストラの演奏会を聴いてきました。

曲目は以下の通り。

チャイコフスキー:序曲1812年
ムソルグスキー/ラベル編曲:組曲「展覧会の絵」
チャイコフスキー:交響曲第4番
チャイコフスキー:歌劇エフゲニオネーギンからポロネーズ(アンコール)

所沢でのゲルギエフの公演は東京に比べるとかなり安いのです。従って東京に行ったつもりで少し高い席を買うことができます。一昨年の「春祭・チャイコ5番」は第一バイオリン奏者が直ぐ近くのバルコニー席で聞きました。今回は1階前から第3列の25番と26番。指揮者の手振りと、コンマス・チェロのトップの演奏中の姿を間近に見る事ができました。それと前回は「寒い雨」が降っていましたが今年は快晴。非常に清清しい音楽会になりました。

プログラムで見ると、今回のツアーは11月22日の熊本に始まり、大阪、広島、福岡、名古屋を回って、サントリーホール4回、12月3日・4日と札幌のキタラの二回の公演の後の最終公演が所沢です。オケのメンバーは最後の公演(たぶん)でリラックスしているようでした。

最初の「1812年」ですが、見所・聞き所がたくさんありました。冒頭のチェロが素晴らしい音です。トップのオレグさん(終了後サインを頂きました)のゲルギエフを見つめる目は鋭かったです。兎に角、指揮棒を持っても、ゆらゆらするゲルギエフの指揮に、各セクションのトップが根性で食らい付いて行く様子を見ることができました。戦闘の場面(早いパッセージ)に入る場所では、コンマスが敢然と突入していきました。コンマスのキリルさん(サインを頂きました)は優しそうな方ですがその統率力は凄いです。ラストの主題に入る前の、弦楽器そして最後に管楽器が入る長い下降音によるユニゾンでは、弦楽器軍が「鬼」になっていました。弦楽器の分厚い響きは凄かったです。その弦楽器を座布団にして、金管(トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバ)がこれまた分厚い音で旋律を謳いあげます。金管・木管とも曲が進むに従って、合奏の精緻さが上がっていきます。だんだん各楽器の特質が薄れて「塊」になっていく感じですね。

「展覧会の絵」では「豪華な音の洪水」に加えて、細かい技・個人技を十分に聞かせてくれました。弦楽器と管楽器のやり取りとか、金管の合いの手とか、そして最後はゲルギエフ得意のジャンプが何回か見られました。台を置かずに楽員と同じ高さのステージで指揮をするゲルギエフの挑発的ともいえる煽り、鯨の潮吹きのような「長いブレス音」。指揮者とオケが形の上からも一体になっています。

チェイコの交響曲第4番は期待していた曲でした。ゲルギエフの5番6番はCDでもTVでも何回も聞いていますが4番は初めてでした。休憩後の演奏ですが、ゲルギエフはステージに出てきて、客席に挨拶した後、オケに振り返ったかと思うと、直ぐに「運命のテーマ」には入ります。それでも金管軍は平気で付いていくのです。第一楽章テーマは少し遅めで比較的抑えて演奏していました。従って盛り上がりは凄いものになります。2楽章は大変美しい。ここはずっと聞きほれていました。

凄かったのは3楽章の弦楽器のピチカート。ここまで凄い演奏はめったにできるものではないと思いました。弦楽器全員が非常な緊張をもって演奏していました。3楽章の最後の方になって、弦楽器奏者が一斉に弓をもってピチカート演奏に入りました。つまり3楽章終了後直ぐに4楽章に突入する準備です。弦楽器奏者の顔には3楽章終了の安堵感は全くありません。既に4楽章の意気込みが漲っているのです。そして怒涛の4楽章。演奏終了後の大喝采を予想しながら音楽に身を任せました。

マリインスキー劇場オケの力は凄いです。彼等にとってはサントリーホールも所沢も違いがないのかもしれませんが、某日本の国営放送オケからは感じとれない音楽に対する謙虚で真摯な態度を感じます。過去何回演奏したか分からない「展覧会の絵」「チャイコの交響曲」を手垢に塗れずに感動をもって演奏してくれました。ゲルギエフは大奮闘の後でも、長く列を作ったファンにためにサインをする時間を確保してくれました。


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12月07日(月)
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