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Kenの日記
by Ken
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■スリランカ内戦終結?
スリランカ政府軍が敵の大将(V.プラバーカラン)の首を取ったことにより、一応26年間に及んだLTTE(タミール開放の虎)との内戦は終結したもようです。今回の内戦の最終局面について少し考えて見たいと思います。
1.インドとの関係
スリランカにとって最も重要なインドとの関係は非常に微妙でした。スリランカの対岸のタミール・ナド州の世論はルーツの同じタミール人(LTTE)に同情的でした。私はいつかインド政府の仲介が入るのではないかと思っていました。しかしスリランカ政府は最後の総攻撃を「インド総選挙」にぶつけました。与党のインド国民会議派はどちらかというとタミール・ナド州の動きには批判的でしたので政治的な介入にはなりませんでした。
インドにとっての悪い思い出は「ラジブ・ガンジー暗殺」です。今回の総選挙でも大勝利した国民会議派の現党首の「ソニア・ガンジー」の旦那さんでした。ラジブはスリランカ内戦に介入し、インド平和維持軍をスリランカに派遣し当時のスリランカ政府を助けました。これに反旗を翻した「LTTE」は自爆テロで「ラジブ」を吹き飛ばしたのでした。「ソニア」にとってスリランカ問題に介入することは「悪夢」を思い出すことです。しかも選挙の真っ最中ですから、介入はできなかったのだと思います。インド政府の公式な談話を待ちたいと思います。
2.アメリカ、ヨーロッパ諸国との微妙な関係
スリランカの新聞には「スリランカ政府のテロに対する勝利になぜアメリカは祝福しないのか」「ヨーロッパはなぜ歓迎しないのか」といった論調が出始めました。たしかにイラク・アフガニスタンにおけるアメリカを中心とする多国籍軍のテロとの戦いをみれば、テロに勝利したスリランカ政府の気持ちも分かります。
しかし、アメリカ・ヨーロッパ諸国からすると、核兵器を保有するパキスタン・イランの情勢と、小さな島国のスリランカの内戦とはそもそも利害関係が全く違います。できれば最悪のシナリオは避けて、どこかで「LTTE降伏」「残存メンバーの第3国脱出」を実現させたかったところです。そしてアメリカに限っていうと、核兵器問題では大きく譲歩した「インド」との関係を考慮しなければなりません。インド政府が歓迎しない「一方的勝利」を簡単に祝うことはできないのです。またアメリカ・ヨーロッパが、未曾有の経済低迷・新型インフルエンザの流行といった大きな内政問題を抱えていたことも、積極的な関与を遅らせた原因であった思われます・
さらに注目しておきたいのは、1983年のタミール人迫害の際に難民として欧米豪等に逃れたタミールの人々のことです。シンハラ人も海外に移住していますが、タミール人の数には及びません。タミールの人々はカナダ・オーストラリア・ヨーロッパ諸国で有力な「集団」となっている模様です。それらの人々にとっては、祖国スリランカにタミール人自治区域ができることが夢でした。今回その夢は消え去ってしまいました。スリランカの内戦が収まっても、海外におけるスリランカ政府批判は激しくなるのではないでしょうか。
3.復興に要する資金は?
国際社会はスリランカ政府に対して、インド洋津波の後「内戦解決を条件」に大規模な復興資金援助を約束しました。その中で日本の拠出は最大なのです。今回内戦解決が「政府軍の一方的勝利」に終わったのですが、これを契機にして援助凍結が解除されるのかどうか。26年間の内戦の間に破壊されたインフラ復興のためには多額の資金援助が必要になります。多分内戦終結後のスリランカ政府の姿勢を確かめた上での判断になると思います。その中で日本政府は「復興資金」をちらつかせるだけで、スリランカ政府に強いメッセージを発しませんでした。ここでも日本政府は中途半端な対応に終始しました。
05月19日(火)
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