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Kenの日記
by Ken
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■ヒラリー・ハーンのシベリウス
ハーンの演奏したシベリウスのバイオリン協奏曲を漸く購入して聞いて見ました。これまでCDショップでは気になっていたCDなのですが、なぜか不思議に触手が動かなかったのでした。名演誉れ高い「ヌボー」の演奏を超えるような演奏が存在するという可能性を無意識の中に拒否していたのかもしれません。
今回ハーンの演奏を買う気になったのは、音コン優勝の「黒川侑」さんの演奏を聞いたことがきっかけです。演奏会当日のコンディションが悪かったのかもしれませんが日本の若手で「断トツ」の実力者という「黒川さん」の演奏に不満が残り、家に帰ってから「チョン」だとか「ヌボー」を聞いて見たのでした。私の注目して箇所は3楽章の最初のソロバイオリンパート。この難所を指定されたリズム通りにしっかり弾いているかどうかがポイントになります。
チョンもヌボーもそれなりに上手いのですが聞いて見るとやはり少し不満が残りました。ということでそれなら「ハーン」はどのように演奏しているのかということになったのでした。まず「ユーチューブ」で「ハーン」の演奏を調べました。「マゼール指揮」のコンサート模様がアップされていました。随分若い頃の演奏です。でも素晴らしい演奏です。切れ味抜群です。購入したCDのハーン自身の解説に以下のように紹介していました。
「16歳になった時にヨッシャ・ブロスキー先生はそろそろシベリウスを勉強する時期だと言いました。今思い出すレッスンでは、血の様に赤い東洋風の絨毯の上で、直ぐ横には「氷」のようなクロゼットが置かれていました。私の音楽は音楽が形をかえた「ワイアスタンド」に乗ったようなものであり、バイオリンパートは予想外の危うさを露呈する一方、構造的なバランスを感じて楽しかったことを憶えています。そしてヨーロッパ演奏旅行にシベリウスを持って行きました。数年間の間に何度か演奏した後、暫くシベリウスの演奏をやめました。これはいつものやり方ですが。」
この記事を読むと2007年3月に録音したシベリウスバイオリン協奏曲は10代の時に演奏してから約10年振りの録音だということが分かります。演奏の勢いは若い頃を彷彿させるものですし、技術の錬度は更に高まっています。まさに女性版「ハイフェッツ」といっても言い過ぎではないでしょう。超絶技術があるから表現できる音楽というものもあるものだと感じてしまいます。まだ30才手前のハーンはどこまで行くのでしょう。
フランスのバイオリニストの「Ginette Neveu」は1919年生まれ。1949年に飛行機事故で30歳の若さをこの世を去りました。そして亡くなる3年前の1946年にズスキンド指揮フィルハーモニア管弦楽団の伴奏でシベリウスを録音しました。27歳でしょうか。ハーンの録音時期と殆ど同じような状況です。ハーンの録音を聞いて見るとこれ以上何を加えるのか、歳を取ることでどう良くなるのだろうかと考えてしまいます。不謹慎な推測ですがハーンには是非事故や病気に気を付けて熟成して言って欲しいと思います。
11月22日(土)
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