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Kenの日記
by Ken
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■スリランカ内戦激化(3)
1月2日、スリランカ政府が正式に「LTTEとの停戦合意」を破棄しました。2002年2月にノルウェー政府の斡旋によって「停戦合意」が調印され、暫くの間「停戦」が実現し和平ムードが盛り上がったのでした。私はちょうどその頃スリランカで勤務していたので、停戦の機会にスリランカ最北部のジャフナまで2回の旅行ができました。
しかしその後スリランカ政府の政権交代を期に再び「小競り合いが」始まり、インド洋津波の災害復興が優先するはずなのに、スリランカは再び内戦の泥沼に入ってしまいました。そして昨年は政府軍が大規模な空爆を行うようになり、政府軍が力でLTTEを取り除く自信を持ってしまったようです。
このスリランカ政府の通告は14日の猶予をもって実施されるようですが、ノルウェーの停戦監視団はスリランカ出国に取り掛かったようです。アメリカ政府はこのスリランカ政府の動きへの制裁として、武器類のスリランカへの輸出を一切禁止しました。これに対し日本は「人道的見地」からでしょうか大規模な援助を続けています。
2月にはインドの「シン新首相」がスリランカを訪問する予定です。スリランカ政府はLTTEとは絶交して、別の新たな「タミール人組織」との間で民族問題の解決を図ろうとしているのです。スリランカ政府はインド政府から「お墨付き」を貰おうとしています。インド政府はイスラム過激派のテロには苦労しています。南部タミール・ナド州にシンパを持つスリランカのLTTEですが「テロ組織」ということで、インド政府もスリランカ政府の行為を黙認するかもしれません。
あたかもこれらの動きに関連するかのように、元旦にスリランカ国会議員で穏健なタミール人グループのリーダ格の「T. Maheswaran(マへスワラン)氏」が暗殺されました。(以下親タミール派のニュース配信です)
[TamilNet, Tuesday, 01 January 2008, 04:37 GMT]
Colombo district Tamil parliamentarian of the opposition United National Party, T. Maheswaran, was shot at Ponnambala Va'neasvarar temple at Kochchikkadai in Colombo Tuesday around 10:00 a.m., while he was paying homage at the shrine, and succumbed to his injuries at Colombo hospital. The shooting, which also claimed the live of his bodyguard, comes a few hours after the parliamentarian had said that he would reveal details on how abductions and killings in Jaffna are managed by the Sri Lankan establishment through the EPDP paramilitary, from Colombo. Eleven days ago, the government of Sri Lanka had reduced the Ministerial Security Division guards provided to the MP from Eighteen to two.
私はこのマへスワラン氏とは何回か会っています。務めていたスリランカテレコムが和平ムードの中でジャフナ電話局復興工事に取り掛かったのですが、その出発式で「マへスワラン氏」が政府・タミール人を代表して挨拶をしたのでした。そしてジャフナでのセレモニーにも「マへスワラン氏」は参列し、我々をジャフナの自宅でもてなしてくれたのでした。彼は野党議員でしたが、首都コロンボの政治とジャフナのタミール人社会を結ぶ太いパイプであったのです。
昨年11月にLTTEのNo.2のタミールセルバン氏が政府の空爆で死亡しました。そしてタミール人国会議員の暗殺。そしてスリランカ政府はLTTEリーダのプラバカラン氏を狙った空爆を続けるのでしょう。そして、新たなタミール人組織を相手に和平交渉をするのでしょう。果たしてこの作戦は成功するのでしょうか。
01月04日(金)
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