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Kenの日記
by Ken
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■ベッリーニのオペラ「清教徒」
城塞の大広場での祝賀会。ヴァルトン卿だけは所用があるといってジョルジョに代わって教会へ同行してくれるように頼む。ブルーノが連れてきたいわくありげな婦人に対してイギリス議会への同行を求める。彼女は、実は処刑されたチャールズ1世の王妃フランス王女エンリケッタで、長い間この要塞に幽閉されていたのだった。アルトゥーロはこの城に処刑された国王の王妃が幽閉されていることをジョルジュから知らされる。エンリケッタを見たアルトゥーロはそっと近寄って何かお役に立てないかと尋ねる。
偶然そこにきたエルヴィーラはエンリケッタにヴェールの着け方を教えて欲しいと頼み、ヴェールを残して去ってゆく。千載一遇のチャンスにアルトゥーロはこのまま脱出しようとする。リッカルドに見つかるが、リッカルドはアルトゥーロに決闘を挑みに現れるが、止めに入ったヴェールの女性がエルヴィーラではなく、エンリケッタであると知りそのまま何も言わずに逃がしてしまう。そして戻ってきたエルヴィーラはリッカルドから花婿のアルトゥーロは囚われの女性(エンリケッタ)とともに逃げていったと知らされ、裏切られたと思い込んで衝撃のあまり錯乱してしまう。
第二幕
城内の居室。発狂したエルヴィーラを心配する人々に、叔父のジョルジョは日頃の彼女の様子を語って聞かせる。最高議会でアルトゥーロには死刑の宣告が出た。狂乱しているエルヴィーラを前に、リッカルドもジョルジョも涙を隠せない(アリア:あなたの優しい声が)。ジョルジョは、アルトゥーロとエルヴィーラを救えるのはリッカルドだけだと説得する。あのときリッカルドはわざと二人(アルトゥーロとエンリケッタ)を逃がしたのだった。そのせいでエルヴィーラは狂ってしまった。自らの行為を恥じたリッカルドは、二人のためにできる限りのことをするとジョルジョに約束する。しかし翌朝には清教徒軍と王党派軍との戦いが始まろう徒していた。リッカルドもジョルジョも、ただ祖国のためだけに戦うと誓うのだった。(アリア:ラッパを吹き鳴らせ)
第三幕
戦いは清教徒軍の勝利に終わる。エンリケッタを無事に逃がし辛くも逃げ延びたアルトゥーロは、エルヴィーラが彼への愛を歌っているのを聞き、それに応えて愛の歌を歌おうとするが、追っ手の兵士たちが迫ってくるので慌てて身を隠す。アルトゥーロの声を耳にしたエルヴィーラが城から走り出てきて、彼を探し始めアルトゥーロはその前に走り出ると跪く。アルトゥーロが連れ出した女性が王妃だったことを告げのと、エルヴィーラの誤解も解けエルヴィーラは一旦正気を取り戻す。リッカルドたちがやってきてアルトゥーロを捕まえ、リッカルドがアルトゥーロに死刑を宣告するとエルヴィーラは正気を取り戻しアルトゥーロとともに死ぬと誓う。そこへ使者が到着しスチュワート家は滅び、罪人達は赦免されたと高らかに告げる。晴れて許されたアルトゥーロとエルヴィーラは、一同の祝福を受ける。
歌劇「清教徒」には魅力的なアリアが散りばめられています。エルヴィーラの「狂乱の場」、二重唱「ラッパを吹き鳴らせ」、第三幕のエルヴィーラ・アルトゥーロ愛の二重唱」などなど。どれも大変高度な歌唱力が要求されます。これらの注目のアリアについて、今日の公演ではかなり好演されていたと思います。私としてはリッカルドの歌に最も引き込まれました。二幕の二重唱もリッカルドの歌は素晴らしかったと思います。三幕の最高難度のアルトゥーロのアリアですが、さすがに「ハイF」は出さずに「ハイDes」で代用されました。それでも安定して「ハイDes」を歌い上げていたことには関心しました。
個々のアリアが魅力的なのでオペラ全体を見通すことが後回しになってしまいます。私はこの「清教徒」の肝は「ジョルジュ」だと思います。舞台回し的な役割を担っています。第一幕ではエルヴィーラの婚約相手をリッカルドからエルヴィーラが本当に愛しているアルトゥーロに差し替えるべく努力して成し遂げるところ。第二幕では失恋の痛手を負ったリッカルドを力づけて立ち直らせて戦いに向かわせる「美味しい」場面を与えられています。
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01月19日(土)
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