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Kenの日記
by Ken
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■サンタンジェロ城・オペラ魔笛鑑賞
ローマに入る前にナポリによってナポリの「サンカルロオペラ劇場」を見学しました。サンカルロ劇場は王宮の直ぐ横にある非常に立派な建物で内装も非常に豪華でした。イタリア統一前の歴史を振り返ってみると、ローマは長い間ローマ教皇の領土でした。そしてその勢力範囲はそれほど広くはありません。その教皇領より南のイタリア半島の半分程度は長くナポリ王国が支配していました。ナポリ王国の領土はイタリア統一前は最も広大なものであったのです。当時イタリア北部はというと「ミラノ公国」とか「サヴォイア公国」とか「ヴェネチア共和国」とか規模の小さい国々が乱立していたのでした。

こんな背景もあって、ローマオペラ座はナポリのサンカルロ劇場に比べると規模にしてその煌びやかさにおいても劣ると感じるのは仕方のないことだと思います。つまり王様のお膝元で長い伝統を持つ劇場(サンカルロ)と19世紀の共和国統一後に作られた新しいオペラハウスの違いは伝統の違いとして感じられたということです。更にローマカトリック、古代ローマ遺跡の街ローマは音楽においてミラノとかフィレンツェとの差を感じざるを得ません。もっとも敷居の高くないオペラ座は世界中の観光客が気軽にオペラを楽しむ環境であるというメリットがあるとも言えます。今回の「魔笛」も指揮者・歌手は他のオペラ劇場からの寄せ集めの公演です。そんなオペラ座もありかなと思います。ところで昨年暮れから「ムーティ」がローマオペラ座にきました。これから「ムーティ色」がでてくるのでしょうか。円熟したムーティとのコンビで大きく飛躍するのかどうか楽しみではあります。

今回の「魔笛」はコヴェントガーデンの人気演出の焼き直し版です。そうするとどうしてもコヴェントガーデン版との比較にならざるを得ません。どうしようもないことですが「ダムラウ」のような「夜の女王」は滅多にいるものではないのです。オペラでの出番は少ないものの「夜の女王のアリア」は魔笛で主要な見せ場の一つです。今回は残念ながら「ハイF」の音は殆ど外れていました。他の歌手が結構頑張っていたのに「夜の女王」でマイナスが大きくオペラ全体の評判を落としてしまった感じです。私はパミーナを歌った若い「ミューラー」さんの歌唱・演技が素晴らしいと思いました。この人はこれから大いに活躍するのだろうと思われました。タミーノ、パパゲーノ、ザラシュトラは非常に安定した演技だったと思います。予定外で平土間で聞くことができたのはラッキーでした。日本の大きなホールでは絶対聞けないような声の振動を感ずることができました。

今回オペラ座近くにホテルを確保しました。それは夜8時30分に始まるオペラが終了するのは夜12時過ぎになると思われましたし、終演が遅くなっても歌手の写真を撮ったりサインをもらったりすしたかったからです。予定通り、パミーナのミューラーさんからサインをいただき一緒に写真まで取らせてもらいました。イタリアでも夜12時過ぎの終演では楽屋口で歌手を待ち受ける人の数は少なかったです。頑張った歌手の皆さんには少し申し訳にような気がしました。この魔笛経験は今回のイタリア旅行の最後のイヴェントでしたが色々な面で非常に印象深いものでした。

03月27日(火)
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