ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■メイドお騒がせします。
息子・タク(8才)がハマり中のポケモンカード。

幸か不幸か、隣街にポケモンカードのメッカみたいなおもちゃ屋があり、そこではポケモンカードの猛者達が集まり、カードバトルイベントが行われているのである。

「カードバトルしたいからおもちゃ屋連れてって!」

日曜日もタクは闘う気満々であった。

「じゃあ一応調べるからちょっと待て…」

念のためその店で今日バトルのイベントがあるか調べてみたところ、

「あ、今日はないわ。残念」

ということで諦めてもらうことにした。しかしタクは

「ボクは強い人と闘いたいんだ!」

と闘志に溢れており、「俺より強い奴に会いに行く」のフレーズでお馴染みの格闘ゲーム、ストリートファイターツー、略してストツーのようなノリになっており、誰も彼を止められない!

東京でストツー、銀座でストツー、ってことで、タクを連れて出掛けたのは銀座…ではなく秋葉原。カードゲーム最大のメッカである。

なんだかんだ言って、タクのワガママ聞いて何度も来てしまっている。甘やかし過ぎだろうか。ドラクエの勇者のコスプレして歩いてる人や、教会の前で巫女さんのコスプレをして客寄せしてる女の子とかも、

「あ、またいるな」

すっかり見慣れた風景になってしまった。そんなマニアックな街の更に奥にある、カードが溢れかえる薄汚い店が僕らが目指すところ。まだ幼いうちからこんなディープなスポットに放りこんで良いものだろうか、と、悩む僕である。

しかしタクは目を輝かせて13時からのバトルイベントに参加。

「負けても泣くなよ!」

「えー」

タクは対して努力してないくせに負けず嫌いだけはいっちょまえで、負けるとすぐ泣くんである。周りを見渡してもそんな子はいないし、第一相手も興ざめである。だからそれだけはやめてくれ、と言ったのだが、参加者が4人しかいなかったせいか、タク、なんと全勝して優勝してしまった。

「ボク勝ったよ!」

すんごい嬉しそうなドヤ顔で自慢する。

「よかったなー」

意外と成長しているようなのでその努力を褒めてやった。

そして15時からもう一度バトルイベントがあるというので、じゃあ昼飯を食べよう、と、一旦店を出た。

何処で何を食べようか…と考えていると、さすがは秋葉原、可愛いメイドさんが何人も道端で客寄せしているではないか。可愛い子がいるとついその気になってしまう。

「タク、メイド喫茶でゴハン食べようか」

と提案すると

「なんでだよ!」

即座に却下されてしまった。

「じゃあ何処がいいんだよ!」

「ここ!」

タクはすぐ近くにあった立ち食いそば屋を選んだ。そして

「ボクねえ、カツ丼か親子丼か天丼が食べたい!」

と、サンプルが並ぶウインドーを頬ずりするではないか。まるで僕が全然食わせてないみたいじゃないか。まあ、安いし早いしいいけどね…て、カツ丼と親子丼を注文してふたりで食べ回して腹ごしらえ。で、ポケモンカードバトルの店に戻ってみると

「すいません、別のカードバトルのイベントが押してて遅れまして17時からなんですよ」

なにがどう押したらなんで2時間も遅れるんだっつの!しかし文句を言ってもしょうがない。

「タク、帰るぞ」

下手すりゃ帰りが21時ぐらいになってしまう、そんな遅くまでいられん、ということで帰ろうしたら

「やだ!」

タクは動こうとしない。仕方ないので恐る恐る嫁に電話したら、幸いなことに許可が得られた。しかしそれまで更に待たなければならない。店の中はイベント客でぎゅうぎゅうなので、狭くて暑い。

「よし、一旦店を出てメイド喫茶で開始を待とう」

と提案すると

「なんでだよ!」

また却下された。

「じゃあちょっと付き合え」

と、ビデオカメラの電池とかチマチマした買い物などに付き合わせた。

「あ、マリオカートだ!やりたい!」


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06月04日(水)
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