ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■商店GUY
ちょっと前に近所の商店街でのイベントで抽選会があり、娘・R(10才)と息子・タク(8才)にクジを引かせたところ、それぞれ区内共通商品券をもらった。
タクが1,500円分、Rが500円分。
「ボクの方がくじ運いいんだぜー!」
タクはすげえだろと鼻高々だ。それを優しい目で見守るRはさすがお姉ちゃんである。しかしRだってくじ運はいいんである。年末の福引の時は、タクが1等の1万円券を当て、Rは2等の「吉幾三コンサートチケット」を当て、姉弟でワンツーフィニッシュを決めた。幾三チケットの実用性うんぬんは置いといて、Rだって実績はあるのだ。
さて、この商品券の使い道については当然Rとタクに決める権利があり、Rはそんなに物欲が激しくないので特に決めていないが、タクは
「ポケモンカードを買いたい!」
今彼が一番欲しい物に使いたいのだ、という意志が強かった。
「ねー、この券どこで使えるのォ?」
タクは僕の背中にへばりついて離れなかったのでインターネッツで調べてみた。区内共通商品券を発行している商店街連合会のサイトが見つかり、そこに扱える店が載っていた。
こういうのって地元の個人商店のような小さなお店が主体なので、トイザらスとか西友(大きなおもちゃ売り場がある)とかは使えないんだろうなあ、と思ったらやっぱり使えなかった。
使えるお店リストをしらみつぶしに見てみたが、この商品券が使えるおもちゃ屋はほんの4〜5件しか見つからず驚いた。まずおもちゃ屋そのものが少ない。人口70万人を擁する区なのに数えるほどしかないなんて、おもちゃ屋経営って厳しいんだなあ…。
目星を付けたのはチャリで行ける距離にあるおもちゃ屋。そこに行ってみようと考えたが、行ってみたけどポケモンカードが売ってませんでした、というワナにかかるのは嫌なので、念のため電話してみたら
「ありません」
ガーン。さらに2軒ほど問い合わせてみても扱っておらず、
「ありますよ」
ようやくポケモンカードがあるお店を見つけたが、そこはウチから何駅も離れているところであった。ていうか何故僕はここまでムキになって探しているのだろう…。
「あることはあったんだけどねー、遠いんだよ。チャリじゃ行けないんだよ。電車でしか行けないんだよー…」
遠まわしにやめようぜ、とタクに言ってみたのだけれども
「じゃあ電車で行く」
「商品券は使えても電車賃が余計にかかるから全然お得じゃないだろ」
「やだ!行く!」
もうタクにすればそういう損得勘定は頭の中に菜なく、とにかくポケモンカードを手に入れたい、それだけであった。
「よし、じゃあ行くか」
「うん!」
僕が連れて行くことにした。
「えー電車賃かかるのに…まあ行ってらっしゃい。ワタシは家にいる。昼ゴハンは適当にどうぞ」
嫁も顔を曇らせていたが、そうしないとタクの気持ちが治まらないだろう。仕方ないのだ、という顔をしてタクとRを連れて出掛けたのであった。
表向きには仕方ないとしながらも、そのおもちゃ屋がある街には有名なラーメン屋があり、また、ボートが乗れる池がある公園もあることを僕は思い浮かべていた。
実は、うまいラーメン食って子供達とボートに乗ったら楽しいだろうなー、とワクワクしてしまったんである。そのワクワクに勝てず、出かけてしまった次第。そういう楽しみがなければとっとと金券ショップで売っているところだ。
タクはその最寄り駅に降りた瞬間
「あと何メートルでおもちゃ屋?あと何歩でおもちゃ屋?」
というしつこい質問を何度も浴びせ(何時何分何秒!地球が何回回ったとき!並にしつこい)、おもちゃ屋に着くまで暴れ馬のようだったので、手を繋いで抑えるのに必死であった。
おもちゃ屋ではニコニコ顔でポケモンカード3袋ほど買い、物欲が満たされると
「おなかすいた!」
案の定腹減ったと言ってきたのでお目当てのラーメン屋に。待っている間にカードの袋を開けて
「やったー」
強いカードが出たようで喜んでいた。
「ねえ、Rにもひとふくろ開けさせてー」
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03月11日(火)
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