ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■涙雨ボウリング。
雨がしとしと降る日曜日。

「ボクはパパとドッジボールがしたいよ」

と息子・タク(8才)が言うので、広い体育室がある児童館に連れて行った。児童館に着くと

「いらっしゃーい!」

いつもとは違いメチャクチャテンションが高いおばさま達が出迎えてくれた。よく見ると「人形劇上演中!」という看板やポスターがそこかしこに貼られていて、何やらイベント中の様子。

「ボク、是非見てってね!すっごい楽しいから!!さあどうぞどうぞ!」

おばさま達はキラキラな笑顔で僕らを招き入れる。反面、一抹の不安を覚えた僕は

「もしかして、今日は体育室は使えないとか…?」

と聞いてみたら

「そーなんですよー。その体育室で人形劇やってるんですよ!」

おばさまの説明を聞いた途端、タクの目から涙がぶわっと出て、僕の腹あたりに顔を埋めて

「う…うううう…」

シクシク泣き出してしまった。

「あらー、ボク、楽しみにしてたのー、ごめんねー…」

おばさんはバツの悪そうな顔をしてるしタクは僕にしがみついて泣いてるし、居たたまれない気持ちになり、とりあえず児童館を離れた。来る前に休みじゃないかだけは確認してきたのだが、まさかこういうワナがあったとは…。

僕とドッジボールしたいというタクの願いは是非叶えてやりたい。しかし

「他に室内で暴れられるところって…思い浮かばないんだよ。諦めてくれ」

と家に帰ろうとしたところ

「やだ!」

超ワクワクしていただけあって、その反動がすごい。親の仇を見るような目で睨まれた。僕、親だけど。

「じゃあカラオケは?」

「やだ!」

体を動かし、なおボール遊びじゃないとダメらしい。

「じゃボウリングは?」

「行く!」

タクの顔が急にパアッとなった。その頃嫁と娘・R(10才)は買い物をしていたので、嫁と合流して、これこれこういうことになったのでボウリングしに行くよ、と伝え、Rも連れてボウリング場まで行った。

「いやっほー!ボウリングー!」

泣いた息子がもう笑う。Rと一緒になって超楽しそうに笑っているタク。逆に高くついた僕が泣きたくなった。児童館ならタダだったのに…。

基本、僕も全くの自己流であるし、子供達にもスコアは二の次で好きに投げさせてやっていたのだが、Rの投げ方があまりにも女の子女の子していたので、少しレクチャーをしてみた。

「じゃあちょっとそこでやってみな」

「うん」

ボールを持つ前にシャドーピッチングをやってみろ、と言ってみたところ、

R
R
うわーん!ボウリングの練習しろって言ったのにトリプルアクセルの練習やってるよおおお!

面白すぎるから君、お笑い芸人になりたまえ。

ボウリングだけにピン芸人なんちて。

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03月04日(火)
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