ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■あなたの知らな(くても別にい)い世界。
夜の早いうちに仕事から帰って来た。
玄関のドアノブをワザとガチャガチャしてみる。家の中の子供達が「あ、パパだ!」と気付いてキャアキャアするのをを期待してのことだ。すると玄関のドアの脇にある、小さな曇りガラスにスッと影が映った。影の大きさからすると嫁であろう。ここで僕は慌てた。
僕が家の鍵を持っておらず、開けてくれ、という意味でガチャガチャしているのだ、と嫁が勘違いしてしまい、
「まったくもう!鍵忘れんな!」
とプンプンしながらわざわざ開けに来てくれたのでは…と思ったからだ。今までこういうことは何度もあったのだ。僕はすぐさま家の鍵をポケットから取り出して、ゴリゴリと鍵穴にはめた。すると影はスッと向こうに消えて行った。
「鍵あるじゃん、なんだよもう」
という嫁の声が聞こえるようでますます慌て、扉を開けて家に入って、台所にいた嫁に
「いやー、ごめんね、紛らわしくて。わざわざ来てもらって」
と謝ると
「は?なんのこと?」
ワタシずっと台所にいてそっちまで行ってませんが何言ってんのアータ、と目を丸くして言われた。
「窓に君の動く影が」
「きゃー!ワタシそっちに行ってない!オバケじゃないの、こわーい」
あくまでも嫁は違うと言い張る。オバケの言葉を聞いて娘・R(10才)と息子・タク(8才)も
「え、ウチにオバケいるの?」
とがっついてきた。本当にオバケなのだろうか。ウチは貧乏長屋なので狭い。玄関から台所なんてすぐなので、僕が家に入るまでの間に充分移動できる距離である。
そして嫁のリアクションとその顔はすっ呆けすぎていてウソを言っている可能性が高い。これは長くツガイになっている勘だ。いつもはツンツンしているが、よくしてくれる嫁なので、僕のためにわざわざ扉を開けようとしてくれたことを認めたくないのだ。
これ以上いくら押し問答しても嫁はもうウンと言わないだろう。僕も別にオバケでも嫁でもどっちでもいいと思った。似たようなもんだ。信じるか信じないかは、あなた次第です!
そして嫁はオバケと聞いて目を輝かせる子供達に
「ワタシの職場にもいるのよ!自動ドアが誰もいないのに開くんだよ!」
とオバケネタを披露した。
「いやいや、自動ドアなんてそんな誤動作よくあることだよ」
心霊ネタとして出来が悪い。つのだじろうのマンガに鍛えられたオカルトマニアなめんな、と茶々を入れたら
「じゃあもうひとつある。防犯カメラに歩く影が映ってるのよ〜!主任とワタシが見たんだから!」
「それは僕も見たい!見れるかな?」
「えー…それは…もう何年も前の話しだし…」
「なんだよもう残念だな」
嫁の職場に現れるという心霊現象…信じるか信じないかはあなた次第です!
で、それからゴハンを食べて子供達が寝てグダグダしていたらいつの間にか嫁も寝てしまった。
残された僕、ひとり。さてどうするか…と考えたのは、先ほど嫁から聞いた話を思い出して怖くなったからではない。
ちんこいじるかいじらないかは僕次第です!
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03月01日(土)
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