ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■サンタはママにキスをしない。
クリスマス・イヴ。
もうすぐサンタさんがやって来るというのに、いや、サンタさんがやって来るからなのか、息子・タク(8才)は浮かれてはしゃいでしまい、寝る時間をとうに過ぎていた。
一方で娘・R(10才)は溺れてるんじゃないかってぐらい長風呂で、なかなか出て来ない。
「早く寝なさい!早く出なさい!寝ないとサンタさん素通りしてくよ!」
と嫁がブチ切れる。
嫁は夜更け過ぎに〜♪、鬼へと変わるだろ、んんん〜♪バイオレンスナイト♪ホラーナイト♪ってやかましいわ。僕も多少切れて子供達を脅す。
「いつまでも起きてるとサンタさんが来れないだろう?サンタも忙しいし、プレゼント早く配り切らなきゃならないから、
『あーココの子いつまでも寝ないわー、ダメだわー、なかなかプレゼントさばけなくてダルいわー、別のウチの子のとこに置いてっちゃお』
ってなるぞ!」
「やだー!」
まだまだサンタを信じて疑わない。かわいいなあ。
ようやく子供達が寝静まってしばらく、
「じゃ、よろしく」
嫁も寝てしまった。で、0時過ぎにサンタ作戦を開始する僕。と言っても押し入れの奥の奧に隠したプレゼントを出し、包装用の袋に入れ、枕元に置くだけである。Rはローラーシューズと膝当て、タクはポケモンカードセットだ。
そーっと枕元に置いて、では僕も寝るか、と思ったら、うっかり壁に貼ってあった、フエルトで作った靴下の飾り付けに触ってしまった。止めていた画鋲が外れてしまい、靴下と共に落ちてしまったのである。
やばい、画鋲はどこだ…と床を探したがなかなか見つからず、やむを得ず照明を付けたところ、
「んんんー」
眩しそうな顔をする僕以外の家族。すまんね。すぐ見付けるからね、起きないでね…と祈りながら画鋲を探し、ようやく見付かって拾い上げたところ、むくりとタクが起きてしまったではないか。そして僕と目が合った。
「やあ、め、めりーくりすます」
脂汗が出そうになったが、タクは2秒ほどぼくにガン垂れて、ぼすーん、と枕に顔を埋めて再び寝てしまった。プレゼントは見られてない。ああ、よかった。
翌朝、僕が起きると既にRもタクも
「いやっほー!サンタさん来たよー!」
1年で1番の寝起きの良さで起きていたらしく、早速プレゼントを広げて楽しんでいた。よかった。途中で起きたタクも、そのことを全く覚えていないようだ。
「パパのところにもなんかあるよ!」
「え?」
なんと、僕の枕元にもリボンがかかった袋が置いてあるではないか!
「パパにもサンタさんが来たんだね!」
「えええー」
さては嫁の仕業か。誰よりも早く起きて仕掛けたに違いない。開けてみるとTシャツが入っていた。そういえば以前僕が欲しいと言っていたのだった。自分ですら忘れてるのに嫁ったら…。
「ありがとね」
子供達に聞こえないように嫁の耳元で言うと
「え、なんのこと?わかんない!サンタが来たんじゃないの?」
あくまでもすっとぼける。ありがたいことだなあ…と、しばらく飾っておきたくなって、包装しなおして自分の机に置いたところ、嫁がそれをふんだくって包装をはがすではないか。
「なにすんのー!」
「今日、今年最後のプラゴミの日だから」
僕の手元に残されたのは、剥き出しのTシャツのみとなった。これがツンデレというやつなのだろうか。
ベリー理解にクルシミマス。
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12月26日(木)
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