ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■傷だらけのローラー。
娘・R(10才)がクリスマスにプレゼントして欲しい物が変わってしまった。
ついこないだまでは、幼稚園児が遊ぶようなポケモンのおもちゃだったので、幼いなあ、と苦笑いしていたが、気が変わって何が欲しくなったかというと、
「Rねえ、ローラーシューズが欲しいの」
ローラーシューズ…。カカトのところにローラーが付いていて、つま先を上げてツイーッと滑ることが出来るシューズである。僕は即座に答えた。
「ダメ」
「なんでー!」
「危ないから!」
ローラーシューズといえば、スーパーやらショッピングセンターやら、下手すりゃ一般道路でも人が多いにもかかわらず、鉄砲玉の如く突っ込んで来るクソガキをイメージするのは僕だけではないはず。とにかく危険で印象は最悪だ。あんなもんを買い与えている親こそ、見たい親の顔ナンバーワンだと言っても過言ではない。
ひとさまに迷惑を掛けるだけでなく、R自身の運動神経も問題だ。この子はとろい。大怪我しないか心配である。
あともうひとつ安全面以外で気に掛かることが…。コレが流行ったのって、もう10年ぐらい前で、既に廃れてない?微妙に今更感がない?ということである。よく子供達と公園に行くけれども、ローラーシューズで遊んでる子ってほどんど見ない。
ひとりだけ、Rと同じクラスのマヤちゃんという子がよくヘルメットと膝パッドを付けて遊んでいるのを見るぐらいである。
「どうしてローラーシューズを欲しくなったんだい?」
なんとかRが他のリクエストにしてくれないかと探りを入れようとしたら、
「マヤちゃんが…」
なんとその理由がマヤちゃんであるという。
マヤちゃんという子は、僕が話すと別にふつうの子なのだが実は超自己中でワガママな子らしく、友達も皆ブチ切れてしまい、誰も彼女と一緒に遊ぼうとしないのだという。
ただRだけは頭の中がお花畑というか柳に風というか、そういうところがあるのでマヤちゃんと衝突sず遊べる唯一の友達なんである。
よくマヤちゃんからしょっちゅう誘われて遊んでいるのは僕もよく見ている。また、Rが別の子と公園で遊んでいる時にマヤちゃんがたまたまやって来て、Rと一緒に遊びだしたら、その子が
「帰る」
露骨にマヤちゃんを嫌って帰ってしまったのも見ている。マヤちゃんと一緒にいると他の友達が寄って来ないので、Rも
「この日はマヤちゃんと、明日は他の子と」
と、日にちや時間を分けて遊んでいるのである。なかなか大変で、Rも本当は他の子と遊びたいんだけれども、マヤちゃんにガンガン誘われたら断れないんだろうなあ…と心配しつつも、他の友達もRのそういう立場を理解してくれていて、Rがマヤちゃん共々孤立してしまうことはないのでそこは安心したりしていたのである。
ただRにはストレスであることには違いない、と僕は思っていたので、マヤちゃんがどうしてローラーシューズを欲しがる理由になるんだい、と聞いてみたら
「マヤちゃんはローラーシューズでよく遊んでるでしょう?」
「うん。よく見るね」
「Rと遊ぶときにも、Rにも貸してくれるんだけど、Rはじょうずにできないの」
「まあねえ。難しいよねアレ」
「だから自分のローラーシューズで練習してじょうずになれば、マヤちゃんと一緒にローラーシューズで遊べるし、もっと仲良くなれると思うから!」
「おお!」
「Rはもっとマヤちゃんと仲良くなりたいの!」
「よ…よっしゃー買ってやる!じゃなかった、サンタに頼んでやる!」
もうお父さん感動してしまったよ。マヤちゃんもRの大切な友達だったんだね…。断れないからしょうがなく遊んでた…と今までそう思っていた自分を恥じた。
「あーでも公園でしかやっちゃダメだぞ。あとヘルメット着用ね。あーあと膝当ても」
これだけは守らせねばなるまい。ヘルメットはチャリ用があるけれども、膝当てはないのでこれも買わないとなあ…。あと、練習には僕も付いてやらないと心配な気がする。
いっそのこと僕もやろうかね。パラダイス銀河とか…。
そりゃローラースケートだ。
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12月13日(金)
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