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エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■GAME
息子・タク(8才)がはまっている「ポケモントレッタ」というゲーム。
「ポケモントレッタやりたいから連れてって」
とタクにおねだりされた。ショッピングセンターのオモチャ売り場などによく設置されている1回100円のゲームなので、
「連れてってもいいけど、自分のお小遣いでやるんだぞ」
「うん」
そう約束させて連れて行くことにした。
「Rも行く」
娘・R(10才)も付いてきた。Rはゲームはやらないけれども、
「Rも自分のお小遣いでお買い物したいの」
という女の子らしい理由でワクワクしていた。
というわけで近くのショッピングセンターに着くと、タクは鉄砲玉のようにポケモントレッタのマシンまで突っ走って行ってしまった。
これがポケモントレッタ。到着した時はチビッコが5〜6人も並んでいて、結構な人気である。ふと気が付くとRがいない。多分Rはカワイイ文房具を買うのが好きなので、タクを並ばせて、その間文房具売り場を見に行ってみようとしたところ、
「パパが並んでてよ!ボクはゲーム見てるから!」
他の子がやってるゲーム画面も見たいけど、列の後ろだと見えないから、並んで順番をキープせよ、と、この父に命令するではないか。立ってるものは親でも使え、を地で行く小学2年生。それはまあいいんだが、
「近過ぎだよ。やってる子の邪魔するんじゃないよ」
ゲームをやってる子以上にゲーム機にかぶりつく勢いだったので、お前もちょっと下がれ、落ち着け、と注意しなければならなかった。地下アイドルにがっつくオタクかよ。
Rもさすがに迷子になるような年じゃないし、買い物を終えればココに来るだろう…と、チビッコに混じって並ばされるオヤジひとり。それが僕。
ゲームを1回やると、ポケモンのデータが入ったチップのようなものを貰える。長い順番待ちの後、ようやくタクがやる番になって、
「よっしゃー!きたー!」
めちゃくちゃ興奮しながらプレイした後、
「パパー!やったよ!」
どうやら欲しかったポケモンが手に入ったようだった。よし、メデタシ。これでタクの用は済み、今度はRだ、と思ったら程なくしてRが戻って来た。手には蛍光ペン三色。
「コレ買うの?」
「うん」
受験生かよ。しかしRはこれらを駆使してお絵描きしたりお手紙書いたりするようだ。
「いくらだい?」
「3本で216円!Rねえ、ちゃんと計算したんだよ」
「おお、そうかそうか」
Rは得意気に自分でレジに向かって行った。数字に弱くて成績表もかなりヤバげでどうしようと思っていたRだが、しっかりしてきたじゃないか、と自分でお金を払っている姿を見て嬉しくなった。
買い物を終え、ウチに帰って来て、
「ちゃんとお小遣い帳付けておきなさいよ」
と嫁に言われたふたりは小遣い帳と財布を広げ、帳面とお金のチェックを始めた。タクは100円使っただけなのですぐ終わったが、Rが
「パパ、お金足りないんだけどどうしよう」
残高が合わないのだという。
「いくら足りないの」
「45円」
「よく探してみなさい」
ポケットの中やバッグの中を探させたけれども見つからない。お小遣い帳はマメに記録しているので、今日の買い物の前までの残高は合っていたというし、こりゃ落としたかなあ…僕もRがレジでお金を払うところ見てたんだけどなあ…と残念な気持ちになったところ、ふと思い付いて
「3本で216円って言ってたよね?1本いくらだった?」
と聞いてみたところ
「87円」
だという。ということは、
「3本だと261円だ!216円じゃなくて261円!その差が45円だ!」
ドヤ顔で計算してたくせに、思いっきり間違っていたことが判明した。ああ、あの時は成長したものだ、と、感心していたのに…。
「でへへ」
Rは許してにゃん、といういつも僕に向ける甘えた顔をして小遣い帳を書き直す。しかしいくら僕でもさすがにもうその誤魔化しは効かぬ。
「もっとしっかり算数の勉強しろー!」
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12月11日(水)
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