ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■プラモデルよりグラビアモデルの方がいい。
日曜日。
「パパ!プラモデル作ろう!」
息子・タク(7才)がスーパーサイヤ人のような勢いとやる気満々のオーラを背負って僕の胸に飛び込んできた。前回の日記の通り、タクがもらってきたガンプラを僕が教えながら作ることになっていたので、タクはずっと楽しみにしていたのである。ちなみになんのガンプラかというと、リックドムである。なかなか渋い選択。
じゃあまず部品を切り取るところから始めようか、ということで、プラモの箱を開け、
「コレをハサミで切ってみ」
とやらせてみたところ、初めてのことなので慣れておらず、なかなか切れない。
「えー、むずかしいようー」
「その難しいのがいいんじゃないか…。パパもガンプラいっぱい作ったんだよ。がんばれよ」
などといろいろ励ましながらやらせたのだが、この時点ですでにスーパーサイヤ人オーラはあっさりと消え、面倒になってきたのが明らかだった。更に
「部品はこの接着剤を使ってくっつけるからね」
と、田宮のプラモ専用接着剤を取り出してみせると
「ええッ?」
タクはもの凄く驚いていた。
「なんだそのリアクションは」
「だって、ボク、レゴブロックみたいにカチッとはめていくかと思ったんだもん」
めんどくさい感情がもっと大きくなった様子。
「プラモってのは、そうなんだよ!あと、この臭いが強烈で体に害があるから、ちゃんと窓を開けてやらないとダメだぞ」
そう言ってシンナーの臭いを注意しつつ接着剤のフタを開けると
「くさい!くさいようー!」
もの凄い勢いで逃げ出してしまった。
「うん。この臭いには気をつけてな。嗅ぎすぎると歯が溶けたり脳が縮んだりするからな」
と注意をして、試しにプラモの部品に接着剤を塗らせてみたら、臭いがイヤでイヤで鼻をつまみながらやるんである。これでは片手しか使えない…。タクは生まれた頃からハンドタオルを鼻でふんふんニオイを嗅いでいるせいか、野良犬のようにニオイにはうるさい。そのためこの刺激臭にも人一倍敏感になってしまっているのだろうか…。
一方、その様子を見ていた娘・R(10才)は
「別に変なニオイしないじゃん」
まるで鈍感な様子。シンナーを吸いすぎると頭がラリパッパになってしまうけれども、元から頭がお花畑のRは耐性があるのかも知れない。いや、んなわけないか。
で、タクに話を戻すと、部品を切るのはめんどくさい、接着するのは臭い、そして組み立てるのもタクにとっては難しい…ということで
「もういい」
腕を2本しかも肩から肘までを作っただけでギブアップしてしまった。
「ちょっとおおお!パパはな、この接着剤をわざわざ買ってきてやったんだぞ!」
わざわざ残業を切上げて東急ハンズが閉店する間際に滑り込んで買ってやったのに、なんという根性のない息子であることか、と嘆いていると、
「まだやらせるには早かったんじゃないの」
と嫁がタクを援護する発言を。
「僕は小3で作ってたぞ」
決して早いわけではない、と言い返しても
「タクはまだ小2よ!」
嫁は鼻息が荒かった。「1年早いじゃないのよ、ドヤア」というのが顔に出ていたが、それぐらい大した違いではない、というのが僕の考えである。しかしその見解の差を言い争うと、僕と嫁の戦争が勃発しそうになったのでやめた。
せっかく買ってきた接着剤は、もう使うことはないのだろうか。タクは一応
「また後で続きをやるつもり」
とは言っているが、そんなセリフは、女の子を誘った時の
「行けたら行くね」
並みにアテにならない。そんなわけでこの接着剤、無駄になりそうである。タクにも嫌われ、嫁にも早いとバッサリ言われ、かわいそうな接着剤。そう思うと僕だけは見捨てるわけにはいかない。僕だけは君の友達だ、というわけで何か有効活用してやらなければ。
80年代のヤンキーばりに、ビニール袋に入れてスーハーしようかな。
シンナーシンナー、生きているんだ友達なんだー。なんちて。
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09月18日(水)
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