ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■しあわせのくつ。
息子・タク(7才)の靴が壊れまくってあと1足しかない、ということで、西友の靴売り場に買いに行くことにした。
タクがこれまでお気に入りだったのは某メーカーの○足という運動靴であったが、これがダメになりやすいのである。タクも
「もう○足ヤダ」
と言いだして、じゃあ違うのにすんべ、と以前ナイキの靴を買ってみたことがあった。それ以来タクはナイキを気に入ったらしい。今残っている1足もそのナイキである。だからこの日も靴屋に入ってみると
「○足はダメだね。ナイキに限るよ」
まるで落語の「目黒のサンマ」のような知ったか口調で得意気に喋るのであった。ただ残念なことにこの店にはナイキの在庫があまりなかった。というか、タクが履いているナイキと同じものとその色違いしかなかったのだ。
「えー、ナイキがいいよう、ナイキー」
他の店に行くとかめんどいし、すっかりナイキ信者になってしまったタクを説得するのは…別のメーカーのカッコイイシューズを…ということで
「アシックスのシューズもいいぞ」
と見せてやった。
「えー、なにそれー」
タクは一瞬ダサイ物を見るような目でそれを一瞥したが、僕に言わせればとんでもない。アシックスは、僕が小学生の頃、めちゃくちゃ流行したのである。ボストンとかミシガンとかネヴァダとか、アメリカの地名にちなんだ商品名の多彩なシューズがあって、僕ら小学生男子共は競って履いたものである。
もちろんアディダス派やプーマ派などもいたが、かわいそうなのは穴澤君という友達であった。彼の母親がバッタもんの靴を買ってきてしまうのである。
アディダスを買ってきてと言っても「アディドス」だったり、プーマがいいと言っても「パンサー」だったり、アシックスかと思ったらトレードマークのラインが1本足りなかったり。
当時はお母さんがどれが本物か分からなくて、ついバッタもんを買って来ちゃうのだ、と思っていたが今思い返すともしかしたらワザと安いニセモノを買っていただけなのかもしれない…。
今はそんなバッタもんは売ってないし、親からアシックス買ってやるって言ってやってんだからありがたく思え、とタクにアシックス最強伝説をネチネチ言い聞かせていたら
「じゃあこの赤いのー」
とようやく決心したようだ。タクは最近赤い運動靴がお気に入りのようだ。
「試しに履いてみな」
サイズが合うかどうか試着させると、
「ちょっと歩いてみてもいい?」
というのでイイよ、と答えると娘・R(10才)と一緒にギャハハハハハーと走り去ってしまった。
「ふざけんな!走るんじゃねえ!」
追い掛けようとしたがあっという間にふたりは売り場の奥の方に行ってしまい、見失った。
赤い靴、履いてた、男の子…。異人さんとかいないのに、行っちゃった…。
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08月19日(月)
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