ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■父帰る。
土曜日、栃木の実家に帰ることにした。
残念ながら嫁は仕事が入ってしまい、娘・R(9才)と息子・タク(7才)は一足先にもうお泊まりしているのでひとり行くことに。
「ふたりは仲良くやってるかな」
そんなことを言いながら出掛けようとすると
「Rは『パパー』って泣きついてくるかもよ」
嫁はそんなことを言う。会えなくて寂しかった、というのではなくて、
「ほら、よくタクが悪さすると『パパ、たっくんがね、Rをぶったの』って密告するじゃん」
「ああ、それね」
いたずらっ子のタクはよくRにちょっかいを出す。Rはそういうことを何故か嫁には言わないで僕だけに言ってくるのだ。
電車に揺られて故郷の駅に着くと、改札の向こうでニコニコしながら飛び跳ねているRとタクの姿があった。うれションする直前の犬のような出迎えでパパ嬉しい。
「やあひさしぶり」
と二日ぶりに話すと、Rは
「ねえパパ、たっくんがね、きのうRのことたたいたの」
早速密告。いきなりかよ。
「おいタク!まだわからねえのか!お前ひとりで帰れ!」
と叱るとシュンとなっていたが、2分後には
「おばあちゃんにポケモントレッタやらせてもらったんだよ!」
あれだけやるなって釘を刺しておいたゲームをイオンまで連れて行かせてやってきたのだ、ということを嬉しそうに語るのであった。親の言うことまるで聞いちゃいない。母は
「いやー、甘やかすなって言うけどさ、『八王子(嫁実家)のおじいちゃんとおばあちゃんは絶対買ってくれないんだよ。栃木のおばあちゃんだけなんだよ。おねがいだよー』って言うからさー、断れないじゃん、いいんだよ」
とすっかり籠絡されていた。そういう口だけはうまいタク。

駅にはまだまだ花を咲かせている桜の木があって、駅のすぐ前には日立の広大な工場がある。ちょうどそこで桜のお祭りがやっていたので、母には車で迎えに来てもらうことにして、子供達を連れて寄ってみた。

ちょうど栃木のアイドル「とちおとめ25」のライブが始まるところであった。確か去年も観たなあ。観客席の後ろの方で、ヲタな人達が歓声を上げていた。
お祭り会場はいろんな屋台や子供用の遊具もあり、

タクはこのようなトランポリンで高くまで飛び跳ねていて大喜びしていた。
「Rもやる?」
「やだ」
一方Rはびびって出来なかった。
この工場は死んだ父が働いていたところであもある。昔、何度か来たこともあるのでわずかながらに覚えている。当時は工場のすぐ近くに住んでいて、僕は幼稚園の頃、勝手にひとりで工場の正門までトコトコ歩いていって、そこで守衛さんに
「お父さんに会いに来たの」
と言ったのだという。守衛さんは名前を聞いてくれて、各部署に片っ端から電話で聞いてくれたのだという。そしてようやく父が迎えに来てくれたのだとか。そんな話をかつて母から聞いたことも思い出した。
ひととおり楽しんだので、母に迎えに来てもらうように電話したら、
「じゃあ正門で待ってて」
ということなので正門を目指して歩いたら、ものの見事に余裕で迷ってしまった。幼稚園の時はすぐ行けたというのに、幼稚園の頃の自分に負けるとは…。
思い出の工場なのに、全然向上していない。なんちて。
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04月08日(月)
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