ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■ふるさとは、遠くにありて泳ぐもの。
栃木の実家から車で20分ほどの所に、みかも山という形がキレイな山がある。その麓にゴミ処理場があって、そこの余熱を利用した温水プールがある。
「プールいきたい!」
娘・R(9才)と息子・タク(7才)はここで泳ぐのが大好きで、栃木に帰る時は必ず行きたがる。なので最近の帰省は水着持参なのである。僕もいつも水着を持っていくので
「グラビアアイドルかっつうの」
と誰に聞かれることもない寂しいひとりツッコミを呟きながら水着をバッグに詰めている。
そんなわけでプールに行って着替えて中に入ると、僕ら以外は全てお年寄りであった。しかし侮るなかれ、みんなスピードこそ遅いが、キレイなフォームで泳ぐ人ばかりだ。やはり通っている人達はある程度の心得はあるんだろう。
しばらくすると僕らのような親子連れもチラホラと入って来て多少ホッとする。ちなみに僕が最も大好きな女子中高生の類は今まで一度も見たことない。
Rとタクは、もう辞めてしまったがスイミングスクールに通っていただけあって、クロールとか平泳ぎとか背泳ぎは出来る。プールの中でもふざけたりしないで、真面目にプールを泳ぎ、端から端まで往復する。そのうちRが
「パパ、バタフライ教えて」
とか言い出す。
「えー、エビフライなら好きだけどなあ」
バタフライとか全然やったことがないのでオッサンギャグで返す僕。が、しつこいので適当に教えておいた。適当すぎて他の人に見られて笑われないかなあ、と気にしつつ…。
あとは息継ぎナシでどこまで泳げるか、とか25メートルタイムアタックとかやってみた。僕も数十年ぶりに本気で泳いでみたら、思った以上に全然ダメである。すぐ息が苦しくなり手も足も重くなり、オマケに足が吊ってしまって死ぬるかと思った。
息継ぎナシの距離もタイムもRとタクに結構いいところまで迫られてしまった。特にタクが凄くて、あと2年ぐらいしたら余裕で抜かれるだろう。かつて小さい頃、ふくらはぎぐらいの深さしかないお子様プールで溺れていたあのタクがウソのようである。
僕はわりとマジで息切れしてしまったのでプールサイドのベンチに座って休憩をした。時計を見るといつの間にか2時間ほど泳いでいる計算になっていた。もう夕方のいい時間である。
「そろそろ帰ろうか」
子供達も疲れてきただろうと思ったが
「やだ!」
まだまだ水を得た魚状態。仕方がないので僕はちょいとポカリでも買ってきて飲み、子供達を見守るのであった。この時の僕は、まるで刑事のようであった。
すなわち、「もう少し泳がせておくか…」なんちて。
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04月09日(火)
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