ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■送りオヤジ。迎えオヤジ。
あれは土曜日のことじゃった。
娘・R(9才)がお友達と遊ぶということを聞いていた。
「何時から遊ぶの?」
と聞いてみると
「電話が来るんだよ」
「えー、決めてないのかよ。そういうのは決めておいたほうがいいぞ」
相手から電話が来るまで待つのだという。それまでどこへも行けないじゃないか。なんだか悪い予感がするのう…。その予感はだいたい当たり、朝のうちはのん気に待っていたが、だんだんお昼近くなるとノンビリ屋のRもさすがに焦ってきて
「いつかかって来るんだよ!」
とイライラし始めた。
「だから今度からはちゃんと決めとけよ。もう君から電話しなさい」
とRに電話をかけさせると、出ないし。ホントに約束してるのか?とも思い始めたがお昼近くになってようやく繋がった。それでその子の家に行くというので僕が送って行った。
嫁は仕事でいなかったので息子・タク(7才)はちょっとだけ留守番だ。3年生にもなればもうひとりで行かせていいかもしれない。でも僕は見送れなかった。なんか心配なのと、Rと一緒に歩きたいなあ、という気持ちが大きくて付き添ってしまった。そう、これは僕にとってはデートなのだ。
お手手繋ぎながらRはこれから遊ぶことを話す。通りがかりの、いかにも学校そばにありそうな駄菓子屋兼文房具屋みたいなお店を通りかかると
「このお店でいっしょのハンドタオル買うんだ」
などと嬉しそうに言う。
「いくらぐらいのやつなの?」
「80円!」
値段がカワイイ!
Rもだんだん友達と遊ぶようになってきたから、こうして僕といる時間はどんどん減るんだろうなあ…などと考えながらお友達の家の前まで。
「帰りは4時半ね」
と約束。4時半にまた迎えに来るつもりである。夕暮れ時は行き以上に心配なのだ。4時半近くまでタクの相手をして、またお友達の家まで歩いて行く。
行きの時も通ったが、シャッターが閉った店や「営業を停止しております」と貼り紙された、電源が入っていない自販機、などなど、歯が抜けたような人気のない商店街を歩く。
それはそれで味があっていいのだけれども、可愛い可愛いRをひとりで歩かせるのは、やっぱり物寂し過ぎて、いかにも変質者とかが出そうな感じ。いや、僕がそう思っているだけで、本当はどこにでもある街並みなのだろう。しかし一旦そう思ってしまうと、そこの曲がり角から、なーおじさん(※)だの人面犬だの赤マントだの口裂け女だのが現われそうな妄想に囚われてしまう。
(※なーおじさん:僕が子供の頃、通学路に現われるといわれていた露出狂。コートをがばっとめくると中は全裸で、巨大化したイチモツを見せてニヤリと笑い、「な?」とひとことだけ言うのだという)
そんなこんなでお友達の家に着き、その前でしばらく待つ。僕が一番不審者に見えるっつの。Rはなかなか現れず、もしや行き違いか?と焦り始めた頃、ようやく出てきた。
「10分遅刻だよ」
ちょっとだけ嫌味を言うと
「だって○○ちゃんがトランプ終わらないんだもん!」
とか人のせいにして口をとんがらせつつ、
「かえろ」
僕の手を握って歩き始めた。
ま、デートで待たされてるのは慣れてるからいいけどね。
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02月27日(水)
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