ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■おねだりダリー。
朝、むっくりと起きた息子・タク(7才)が
「今日、パパお休み?」
と聞いてきた。
「そうだよ」
「よかったぁ〜」
そうニッコリ笑うので、そうかそうか、そんなに僕がいると嬉しいのか、なんて可愛いヤツだと思っていたら
「じゃあポケモントレッタ(1回100円のゲーム。トレッタというチップみたいなのがもらえる)やりたいから連れてって〜」
単に自分がゲームをやりたいだけだったので絶望した。しかも厳しい嫁に頼んでも絶対にダメだと言われるのは分かっているので甘い僕におねだりしているのだ、という思惑も透けて見えて悲しくなった。おのれナメやがって。
タクはこのゲームをやりたくてしょうがなくて、今月既に結構なお小遣いを使っているのだ。だから僕も絶対にウンとは言わない。
「今月はもう何度もやってるだろう。だからもうダメ。やるとしたら来月だな」
と言うと
「おーねーがーい!」
と泣きながら何度も訴える。
「そんなお金の使い方だとすぐなくなってしまうぞ」
などと説教しても
「ボクがもらったお金だからどう使おうがボクの勝手だ」
口だけはいっちょまえのことをぬかす。
「そういうつもりでお小遣いとかお年玉をあげてるんじゃないぞ。そんなことを言うなら全部返してくれ」
財布と貯金箱をボッシュートしようとするとさすがに怯んで
「ボクだってお金の使い方を考えてるんだよ…」
ケンカ腰の口調から一転、涙ながらに訴える。
「どんな風に?」
と聞いてみると
「えーと、次からあんまりお金を使わないようにする」
ダメだこりゃ。これは今教えないとカネにだらしない男になる。ゲームにのめり込んでカネをぶっこみまくるのは僕がそうだからよく分かる。
タクは僕にダメだと説教されてはシクシクと泣き、肌身離さず持っているハンドタオルを鼻と口に当て、ふんふん匂いを嗅いで心を落ち着かせてから
「おーねーがーいー」
再び僕におねだりする。僕も「話せば分かる」と思い再び説得するが、タクもしつこいもので何度もおねだりを繰り返す。それでも僕は首を縦に振らないので、とうとう布団の中に潜ってしまった。文字通りの泣き寝入りである。
「ゴハンだよー」
嫁が朝ごはんが出来たよ、と告げるとさすがに布団からモソモソと出て来た。ヘソを曲げてろくに食べないんじゃないかと思っていたが、さすがに怒ったり泣いたりで腹が減ったのがガツガツと食べていた。そして
「パパー、じゃあ来月連れてってねー」
とニコニコして言う。泣いたカラスがなんとやら。なんだこの切り替えの速さは、と疲れがドッと出てしまった。タクの場合、話せば分かるではなくて、
食えば分かる、のようである。
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01月28日(月)
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