ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■I Heard A Rumour
登校と通勤の朝。
娘・R(9才)とウチの外の道に立っていた。ウチを出る時、未だパンツ姿でうろついていた息子・タク(7才)と、その他一緒に学校に行く友達を待つためだ。
「ねえパパ?、あの中学校の制服の人、見て?」
ふとRが呟いて、先程僕らの前を通って行った中学生の女の子を指差した。
「え、あの子がどうしたの?」
既に僕らの前を通り過ぎ、後ろ姿しか見えないが、聞こえないようにヒソヒソと。
「あの人ねえ、こないだデートしたんだよ!」
「ええっ!」
そりゃデートもするだろうが、なんでそんな極々日常的なことがRのような小学生まで伝わってるんだよってことに驚いた。すれ違ってもあいさつもしないということは、知り合いでもなさそうだし。なんで知ってるんだよ、と聞いてみたところ、
「○○ちゃん(Rの友達)とその人が仲いいから」
ということで、人づての人づてって感じらしい。デートした女の子も、まさか見ず知らずの小学生の女の子の話のネタにされ、更にその話を聞いたオヤジに後ろ姿を眺められているとは思いもしなかったろう。
こういう「なんで知ってるんだよ」という情報伝播の恐ろしさは、田舎にいた頃は恐ろしいほど感じたものである。
昔、ヤングな時代に栃木でフィーバーしていた頃、ナオンをパーナンした数日後に、
「あんた、岩舟町の加藤さんとこの順子ちゃんと遊んでたでしょ」
母親にいきなり言われたことがある。その女の子の氏名住所をいきなりズバリである。
「なんで知ってんだよ!」
「お母さん、順子ちゃんのお母さんと友達だもん。順子ちゃんのことも知ってるよ」
さすが地元で生まれ、地元で育って70年近い母。顔とネットワークの広さがパネエ。
「ズバリそうでしょう…」
僕は丸尾君のように答えるしかなかった。田舎の情報伝播の速さと、その情報の質の正確さに舌を巻いたのと、母はお釈迦様で、僕はその手のひらの上の孫悟空のような屈辱感を味わったものである。いくらネットが発達してもこんな情報は伝わらないからねえ…。
で、Rとの話に戻すと、
「誰とデートしたんだ?」
「さあ」
「どこでデートしたのかな?」
「さあ」
ただデートした、という話だけでなく、どういうデートをしたのかが気になるのである。でもRとしてはデート、という言葉だけでお腹一杯のようで、詳しいことは全然知らなかった。おじさんとしては、今時の中学生ってデートでどこまでやらかしちゃうのかなあぐえへへへ…ということが知りたいのだけれども、さすがにRに聞けないし。
近い将来、R自身がデートして、
「誰とデートしたんだ?」
「さあ」
「どこでデートしたのかな?」
「さあ」
おんなじ質問をしている自分が容易に想像できて悲しくなった。しかも泣きながらしてそうで…。
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01月27日(日)
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