ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■眠れない夜を抱いて。
このところ仕事が忙しく、終電を過ぎても帰れない日が多かった。
タクシーで帰った日もあったが、家に着いてもすぐまた起きて出掛けなければならず、その時間がもったいなくて今日は泊まることにした。
しかし金をケチってマンガ喫茶にしたのがいけなかった。更に
「フラットは空いてないんですよ」
平らな床の個室は埋まっていると言われてイヤな予感がし、この時点でとっとと素直にタクシーで帰れば良かったのだ。ただそれは結果論で、もう動くのがイヤになっていた僕はリクライニングシートの席でもいいのでお願いします、とここで一晩を明かすことにしてしまった。
嫁に「今夜は帰れない」とメールを打つ。もう寝ているようで返事が来ない。さて、とリクライニングシートに身を沈めるとギシギシ音が鳴った。両隣のブースからもそのような音が。どうやら結構人が入っているらしい。ゲホゲホという咳も聞こえ、インフルエンザが流行っていることを思い出し、やはりこんな所に来るのは浅はかであったと後悔するも既に遅し。
腹を括って寝ようとしたら、やっぱり眠れない〜。当たり前だけど布団の中で眠りたいし、リクライニングシートと言っても大して倒れないし…。あと寝る目的の客を入れているクセにBGMがずっとかかってるし、なんなのよもう。
頭に来たのでエロ動画見たらますます眠れなくなった(当たり前だ)。とにかく寝ないとすぐ朝が来てしまう、という焦りがだんだん大きくなって、一生懸命目をつぶってじっとしていたのだけれども、ちょっと眠りに落ちたと思ってもすぐビクッと目が覚めてしまう。非常に浅い眠り。寝たのか寝てないのか分からないような感じで時は過ぎて行き、恐る恐る腕時計を見るともう残された時間は1時間ほど。とてつもない絶望感。
でもそれだけでもいいからガッツリ寝たい…と、再びぎゅっと目をつぶると今度はケータイが鳴った。軽く殺意が湧いたが、それは嫁が寄越した電話だということに気付き、よくない感情である、と思いとどまった。出てみると
「ぎゃははは!パパー!いまどこにいんのー?」
朝から異様にテンションが高い息子・タク(7才)であった。
「会社の近くで寝てるんだよ」
「やっぱりなー!ボクも寝てると思ったんだー!」
「寝てると思うならかけてくんなー!」
さすがにちょっとだけイラッと来た。
「Rちゃんにかわるね!」
タクはひとり騒ぐだけ騒いでとっとと娘・R(9才)と替わると、今度は
「もしもし〜い?」
まさに寝起き、という超低いテンションのRの声がした。
「Rちゃん、ちゃんと起きてる?」
「うん…。起きてない」
返事になってない返事をのんびりとしゃべり、ぶつっと切れた。ダメだこりゃ。愛のあるモーニングコールのお陰でもう寝る雰囲気ではなくなってしまった。ブースの外もざわざわとした物音が多くなってきた。出掛ける人達なのだろう。しょうがないので僕も腹を括って身支度を始めたのであった。あっエロ動画もっと見ておけば…。
マンガ喫茶だけに、眠りをマンキツしたかったなー、というお話でしたとさ。
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01月25日(金)
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