ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■勇気を出して初めての告白。
「パパ、見てー」
息子・タク(7才)が何かの紙をヒラヒラさせていた。画用紙を二つ折りにしたお手紙のように見える。よく見るとはじっこに「○○さくらより」と書いてある。学校で、タクの隣の席の女の子なのだという。
「お手紙かい。中身はなんて書いてあるの?見せて」
とひったくろうとしたら
「やーだよー。見せないー」
「なんだよ!見てっつっといて見せないってなんなんだよ!」
とブチ切れそうになったら照れたような顔をして見せてくれた。読んでみるとそれは…なんとラブレターだった。
「たっくんへ。
せきがえのときからたっくんがだいすきです。よかったらつきあってください。
たっくんのためならなんでもできるよ。いよいよこくはくするときがきたの…。
おねがい!!だいすき! 」
とても1年生の女の子が書いたとは思えない、熱くて激しい乙女心を直球で表わした文章。1年生で「付き合って」とか言っちゃうんだ…。すごいなあ……。思い出したけれども、この女の子は日曜日の炊き出し訓練の時、タクを追い回していた女の子トリオのうちのひとりなのであった。
学芸会の時は桃太郎の犬の役をやっていて、
「ちっちゃくて子犬みたいにカワイイね」
と嫁と言っていた子がその子であった。
「タク、すごいよこのお手紙を書いた子は。真剣に君のことが好きなんだよ。お前はどうなんだい?」
と聞いてみたら
「うーん、普通には好きだよ」
「ラブラブ?」
「ちがうよ」
タクもラブとライクの差ぐらいはなんとなく区別が付いているらしい。でもタク自身はまだ
一度も恋心を抱いたことがないので、ピンと来ないようだ。それに、
「パパー、つきあう、ってなにするの?」
「うーん、こっちが聞きた…いや、一緒に遊んだりするんじゃないの?」
「それじゃお友達と遊ぶのと一緒じゃん!」
「いやほらそれはふたりっきりで遊ぶとか、ね」
大人だったらアレとかコレとかぐえへへなことがあるけど、さすがにそんなことは言えなかった。それよりもまずやらなきゃいけないことは
「タク、ちゃんとお返事書くんだよ」
どんな内容になるかはともかく、きちんとお手紙で返すんだよ、と言ってやると
「もう書いたよ!」
「え、どれ」
「ココ!」
タクが指差すところを見てみると、なんと、そのラブレターのはじっこに
「わかったよ(たく)」
とひとことだけ書いてあるではないか!な、なんて失礼なヤツ…。
「お前はラブレター突っ返す気か!ちゃんと別の紙を用意して書け!ていうか『わかったよ』とか書いてても全然分かってないだろ!」
「でへへ」
「返事しないとか、あんまり冷たい返事だと、悲しまれちゃうぞ。女の子を悲しませちゃダメだぞ」
なんか心配でいろいろ言いたくなってしまうのだが…タクのモテ具合を見ると、1年生にして僕なんかよりずっと女の子の扱いは上手いような気もするのだけれども。
それにしても、我が息子ながらなかなか隅に置けないヤツである。逆に、ラブレターをくれた女の子の父親の立場になって考えてみると、恐ろしくなる。
もし娘・R(9才)がこんな激しいラブレターを誰かに書いてることを想像すると…身が引き裂かれる思いがして脂汗が浮かんでくる。渡す前にコッソリ手紙の封を開けて、文の最後に
「うそだよー。ホントは大きらいだよー。やーいうんこうんこ」
とか付け足して擬装してしまいそうだ…。
さあ、このタクへの告り。この後どんな展開になって行くのだろうか。
告りだけにコックリさんで占ってみよう。なんちて。
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12月09日(日)
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