ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■父帰る。父香る。
夜、仕事から帰って来てウチに入ろうとする。まだ明かりは点いているし、子供達の声が聞こえてくるので寝ていないようだ。僕は呼び鈴をピンポーンと鳴らし、

「パパデース、開けてクダサーイ!」

と叫んだ。すると中からドドドドド…と駆ける音がして、

「だれだ!」

タクの叫ぶ音がした。

「パパです。開けてクダサーイ!開国してクダサーイ!」

「ニセモノだろう!帰れ!」

素直に開けてくれない。タクのお遊びが始まったようだ。

「本物だよー。君のパパだよー」

「じゃあオレの名前を言ってみろ!」

ジャギ
まるでジャギのような問いかけをするタク。タクの名前をそのまんま言うもの趣がないので

「タオルふんふん丸」

多分扉の向こうでもお気に入りのタオルを肌身離さず持っているに違いない、と予想して答えると

「やっぱりニセモノだ!帰れ!」

タクにブチ切れられてしまった。

「でも今タオル持ってるだろう?」

「持ってるよ!」

やっぱり。この辺でもう飽きてきたのでカギを取り出して開けて入った。タクはやっぱりタオルを口に当ててふんふんしていたので

「やあタオルふんふん丸」

と頭を撫でようとすると

「にせものだー!」

走って逃げて行ってしまった。入れ替わりに飛んできたのはRである。僕にがばっと抱き付いて、昨日の日記のようにお腹のあたりに顔をのめりこませてクンカクンカと鼻を鳴らす。そして

「これは本物のパパのにおいです!」

と判定した。麻薬探知犬かお前は。

「普通、女の子はオッサンの臭いはキライなんだぞ」

オッサンの僕でさえオッサンの臭いは嫌いなのに、と言うと

「Rねえ、いつもパパに抱き付いて寝てるのは、パパのにおいをかぐためなんだよ!」

とドヤ顔で言う。そんなにベッタリなのは嬉しいけれど、将来オヤジフェチにならないか心配である。それともやはり思春期を迎えるあたりでガラリと変わり、嫌悪感をあらわにするのであろうか。

Rの鼻のおかげで本物認定され、ようやく家の敷居をまたぐことを許され僕。もし、認定されないままだったら、まるで僕は水着の中の胸パッドではありませんか!

すなわちニセチチである。なんつって。

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09月07日(金)
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