ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■エスカレーター。血ががデーター。
あれは僕が娘・R(9才)と息子・タク(6才)をプールに連れて行った帰りのことじゃった。嫁はいなかった。
駅で電車を降り、昇りのエスカレーターに乗る。僕の前にはタクがいた。一番上まで来たので降りようとしたところ、タクがわざとギリギリまで降りずに立ち止まったままだったので、僕は思わずつんのめってしまった。
何故わざとであるか分かったかというと、つんのめりながらもタクにぶつからないよう、除けながら見えたタクの顔がニヤニヤしていたからである。
前方を阻まれた形になった僕は、足の先をエスカレーターの蹴込み板(踏み板と踏み板の間の垂直になってるところ)に強くぶつけてしまった。鋭い痛みが走った。悪いことに、この時は素足にサンダル履きだったため、モロに足の指先が当たり、親指と人差し指の爪が半分に割れてしまっていた…。
「いてええええ!」
と叫ぶと同時に
「タク!ふざけてそんなことするな!」
タクを思いっきり叱り倒した。以前から駅やエスカレーターではふざけるな、と散々言っていたから余計である。足の指からの血はサンダルにも落ち始め、後ろから来たRが
「だいじょうぶ?血ががこんなに出てるよ!だいじょうぶ?」
と心配してくれた。どうでもいいが何故小さい頃から「血がが」という風に、”が”が重なるんだろう。我が強いのかしらん。なんちて。それはともかく、もし僕じゃなくてRがタクの後ろにいたら…。
「お前のふざけてやったことが人を大怪我させることになる。パパだって爪が割れてめちゃくちゃ痛いし、もし後ろにいたのがパパじゃなくてRだったり知らない人だったらどうする。下までゴロゴロ転げ落ちていたかもしれない。下手すりゃ死ぬぞ?ごめんなさいじゃ済まないんだぞ!」
等々…これ以上ないくらいタクを叱った。叱りながら足の指の割れた爪と流血というグロ患部をチラチラみせながらの効果もあり、普段は3歩歩くと忘れる酉年の鳥頭のタクでもさすがにベソかいて謝り、反省したようであった。
足を引き摺ってウチに帰って、消毒して絆創膏を貼った。Rは心配そうに、タクは申し訳なさそうにその様子を見ていた。まだしばらく「痛い〜」と嫌みったらしくタクに訴えようと思っていたが、充分反省したようだからいいかな…と思った矢先、
「あ、ママが帰って来た」
嫁が帰って来た物音をRが聞きつけたところ、
「ねえ、ママには言わないでぇ」
タクがすさかず僕に口止めしてきおった。やはり鳥頭にして喉元過ぎればケロッとしてやがる…。
「お前、まだ反省が足りないようだな!」
充分叱ったつもりであったが、爪が割れただけにツメが甘かったかなあ。
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08月17日(金)
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