ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■子供が水着に着替えたら。
朝、娘・R(8才)と息子・タク(6才)が
「プールに連れてって」
と言うので
「じゃあ、としまえん行くべ」
としまえんなら年間パスを持っているのでタダである。なのでそう返事したら
「としまえんじゃダメ!」
ちゃんとした競技用のプールに連れて行けと言う。
「なんでだ?」
と聞いてみると
「けんてーで、平泳ぎ25メートル泳げれば合格なんだよ!」
タクの水泳教室では検定を控えており、平泳ぎ25メートルを泳げるように練習したいのだという。Rも学校の授業の目標でクロールを25メートル泳げるようになりたいらしい。だから25メートルのプールで練習したいのだそうだ。としまえんの競泳用プールは50メートルだしRとタクの足が届かないぐらい深いのだ。
区の体育館なので、1時間200円とかその程度の利用料なんだけれど、としまえんはタダで入れるだけになんだか惜しくなってくる。しかし子供達の動機が僕の子とは思えないようなスポ根なので、子供達の意志を尊重することにした。すると
「あ、子供は12時までに入れば2時間タダだってよ」
嫁がお得な情報を見つけたので
「よし、早く準備していこう!」
子供達のケツを引っぱたいて早く出発しようとしたところ、そこはやはり僕の子で、スタートダッシュのダメダメさには定評がある。朝ごはんから着替え、宿題等のノルマをモタモタとやっていたら間に合わなくなりそうになり
「お前ら走れ!」
結果的に水泳の前に走り込みのトレーニングも追加され、入館した時は12時5分前であった。
「はいはい、じゃ、さっさと練習〜」
早速ふたりに25メートルを泳がせると、タクはあっさり達成。形は悪くとも体力は余裕でありそうなので好きに泳がせることにした。Rはおっとり屋なのでクロールで25メートルはちょっとまだ苦しい感じ。形を直すよう教えたりしながら前半は真面目に練習をした。
中盤を過ぎるとやはり飽きてきて、遊び始めてしまったものの、僕もダイエットのためひたすら泳ぎ続けていたら、
「パパ、なんでずっと泳いでるの?」
「デブ防止!」
「えー!」
なんとなく子供達も僕に倣おうと思ったらしく、再び練習する態度となった。
ふたりの唇がほどよく藤木色になったところで
「おなかすいた!」
タクが騒ぎ始めた。とにかく12時までに入らなければと思っていたので昼ご飯はまだだったのだ。そしてプールに入って2時間経とうとしている。
「うん。そろそろおしまいにしよう」
「うん、Rもおなかすいた…」
Rも疲れた上に体も冷えたようでプールから上がった。
「おなかすいた!」
「はいはい、着替えてからね」
「おなかすいた!」
「わかってねえ!」
タクは空腹のあまり物事を考えられなくなっていた。二言目には「おなかがすいた!」と延々ループ。うるさいのでちょうどすぐ近くにパン屋があるのでそこでパンを買ってとっとと食べさせようとしたら
「やだ!お店屋さんで食べたい!」
こういう時に限ってしっかりとした意見を言う。しかもぜいたくな。なだめすかしながら着替え終わって体育館を出る。
「はいはい、とっとと歩こう」
「おなかがすいた!って言ってるだろ!」
だんだん野獣化してくるタク。
「歩かないと、ここには君の希望のお店屋さんは1軒もないぞ」
この間Rは疲れた感じでノロノロとした足取りながらも大人しく僕に付いて来ており、我慢強い子だ、と感心していたが、ようやく入ったお店でタクが
「ボクお子様セットがいい〜」
急に猫撫で声でやっすいお子様メニューを注文したのに対し、
「Rはコレ」
誰よりも高い料理を注文したあたり、なかなかしたたかである。
Rがクロール、タクが平泳ぎの練習をしただけに、僕が注文したのはバタフライだった。
じゃなかった、エビフライであった。
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08月06日(月)
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