ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■金環日食のリングが来るーきっと来るー。
金環日食の朝、6時頃は曇っていて
「こりゃダメかねえ〜」
などと嘆いていたが、徐々に晴れてきた。
「そろそろ欠けてきてるんじゃないか」
6時半頃にそう教えてやると
「みてくる!」
娘・R(8才)と息子・タク(6才)が日食観察用サングラスを片手に外にすっ飛んでいき、
「ホントだ!」
またすごい勢いで戻って来た。そして猛烈な早さでゴハンを食べる。こないだの日記に、サングラスを買いそびれたパパと娘ちゃんの話を書いたが、その娘ちゃん達と一緒に見ることになっているのだ。普段からこの早さで食べてくれればいいのに…。
7時を過ぎるとウチを含む貧乏長屋の住人達がわらわらと出て来て空を眺め始めた。ウチはRとタク用にサングラスを2個用意していたが、先程の買いそびれた娘ちゃん以外にも持ってない人が多く、みんなで使い回しする。
そのうち長屋の大家さんもとやって来て
「サングラスないんだけどねえ。見えるかねえ」
などと言う。金持ちなんだからこういう時に金使えよ!とは思ったものの
「R、タク、大家さんにも貸してあげてね」
と言って、渡してやると
「おほっ。見える見える」
無邪気に喜んでいた。
子供達は既に観察してんだかはしゃいでるんだか分からない程テンションが高く、車に轢かれないよう道路に出ないよう注意したら、Rが
「信じらんない!」
と走り過ぎて行く車を指して怒っていた。
「どうした?」
「だって、車を運転してる人達って、全然日食見る気ないんでしょ!」
ちゃんと真面目に観察しなきゃダメじゃない!と本気で怒っていた。
「いやほら、仕事の人だっているんだからさ…」
「そっか…」
やっと納得してくれたようだ。一方タクは、いつもふんふん口に当てているタオルを目に当てて
「これ、サングラスの代わりになるかな…って見えねえよ!」
誰に見られるわけでもなく、ひとりボケツッコミをかましていた。
やがていよいよ金環となる予定時刻…という時、ちょうど薄い雲がかかってきた。
「くもォー!あっちいけ!」
タクは悲鳴を上げたが、よくよく観察してみると、薄い雲が強すぎる光を抑えてくれて、返って肉眼でも見やすくなったのだ。それでも直視したら危ないのかもしれないけれども
「肉眼でも見えるよ〜」
大家さん、また喜んでいた。大家さんだけじゃなく、金環の瞬間は子供達も大人達も
「すげー!きれー!」
と一丸となってはしゃいでいた。


僕も写真を撮ったりして。ちょうど僕らのいる練馬区が金環状態がほぼ5分近く続くエリアだったようで、全国的にも最長に近かったらしい。天候も場所も超ラッキーな環境だったと言えよう。しかし最長と言っても5分なので、長いようで短い金環の時間はやがて終わり
「あ!丸じゃなくなってきたよ!」
「ホントだ!また細いお月様みたいになった!」
「あー。金環が終わったねー。オツカレさまっした」
まだまだ日食は続いていたが、子供達の登校時間が近づいてきたためお開きとなった。子供達にとっていい思い出となり、記憶に残ってくれればいいが…。大家さんも家の中に入って行った…と思ったら戻って来て僕に封筒を渡すではないか。なんだろう?と首をかしげると
「夏祭りの集金ヨロシク。今じゃなくてもいいから後でこの袋に入れて持って来てネ」
この封筒は集金袋であった!
「いやいやいや、後じゃなくて今お渡ししますっ」
後でとかめんどいので速攻でお渡ししたが、大家さんが去った後に、
「去年そんなのなかったよね?」
「ウチはもう払っちゃったんだけど、確かになんで今年は…?」
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05月22日(火)
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