ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■太陽が欠ければグラサン屋が儲かる。
金曜日の朝、
「金環日食用のサングラスが欲しいんだよね〜」
と嫁が言っていた。
僕が子供の頃は
「ガラスにロウソクのすすを付けて見ましょう」
と教わったものだが、21世紀となった今はそんなチープなものではダメなのだろうか。本当に専用のサングラス必要なのか、と疑問に思った僕は、とある知り合いでプラネタリウムに勤務している人に聞いてみたら
「実際見たことがある人は『肉眼で見るのが一番キレイ』って言ってたけどね」
わりとワイルドなお答えだった。でも最低でも子供達の目は守らなければ、何かあったら後悔じゃ済まないようね、と考えた僕は、珍しくちゃんと覚えていて、その夜、仕事帰りの途中に渋谷のLOFTに行ってみた。
ちゃんと「金環日食コーナー」が出来ていて結構な人だかりが。粗悪品が出回っているという記事をどっかで見たので一応チェックしてみたら、望遠鏡メーカーが作っているものだったので一応信頼してみた。値段はボッタクリと思えるほど高かったが…。
家に着くなり
「パパ、サングラス買ってきた?」
娘・R(8才)と息子・タク(6才)が揃ってもの凄い勢いで詰め寄ってきた。嫁によると、
「パパ、サングラス買ってきてくれるかなー」
と1日中言っていたらしい。ふたりにそれぞれ渡したら大喜びされ、逆にもし忘れていたらどんなことになっていたか…と胸を撫で下ろした。しかし嫁には2個買ってきたことが馬鹿馬鹿しく思えたようで、
「もったいない!1個でいいのよ!どうせずっと見てるわけじゃないんだから使い回せばいいのよ!」
となじられた。
「いや、どうせずっと見てるだろ。僕らはいいが、一応念のため子供達の目には万全の対策を取らなければ…」
と言ってみたところで
「ま、お金を出したのは私じゃないけど」
聞いちゃいない風だった。何様のつもり!あ、奥様か。
そして翌日土曜日の夕方、Rの腕に薬を塗るために必要なガーゼを買いにドラッグストアに行き、探していたところ、
「あ、Rちゃんパパだ」
ご近所でRの一番の仲良し・ナオちゃんとそのパパにバッタリ出会った。パパは
「どっかにサングラス売ってないですかねえ…」
困った顔で言う。午後ずっと探していたのだけれどもどこにも売り切れまくりで全然見付からないんだそうだ。
「ウチ、2個ありますから一緒に見ましょうよ」
ナオちゃん一家にはいつもお世話になってるのでそう提案してみると
「どうナオ?それでいいかい?」
パパはナオちゃんに聞き、
「うん」
ナオちゃんが頷くと、ああ良かった、ということで帰って行った。僕にとっても嫁に「2個も無駄」と言われた手前、後付けだけれどもちょっとは大義名分が出来た。結局曇って全て無駄、ってこともあるけどなあ…。
しかし日食のせいでサングラスが売り切れるなんて、だれも思ってもみなかったろう。
当日はタモリとか浜省などが襲われないことを祈るばかりである。
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05月20日(日)
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