ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■芸術の春。
日曜日は母の日であった。

午前中、栃木の母から電話が来た。

「お花届いたよ。ありがとね」

「いやー、あと何回届けられるか分からないし」

と言ったら怒られた。しかも花を手配したのは僕ではなく嫁だ。電話を切ると

「なにやってんの!今度からあなたがちゃんと送りなさいよ!」

嫁にも怒られた。よく出来た嫁である。

娘・R(8才)と息子・タク(6才)はというと、前日に探りを入れてみたところ、それぞれお手紙とか工作とかプレゼントを仕込んでいて、

「自分からやり始めたのはエライね」

と褒めてやった。たとえプレゼントの内容が、使い古しのエンピツと消しゴム(タク)だったり、チラシの裏に折り紙をべたべたくっつけた意味不明のアートのようなもの(R)だったとしても…。これらをもらった嫁は

「わーありがとう!」

と子供達の前では喜びながら、

「このチラシに折り紙…正直言って分からないんだけど…あなたわかる?」

僕にはコッソリと耳打ちし

「ビタイチわからん。もしかしたら何かのゲイジュツなのかもしれん」

「あの子のことがよく分からないわ…」

モノよりも気持ちが大切なんだけれども、コッソリ頭を抱えていた。

そんな嫁を横目に僕は昼飯のカップうどんを食べ、容器を捨てようとしたら

「あっ!それちょうだい!工作に使うの!」

Rが全力で止めるので

「じゃあよく洗ってから使いなさいよ」

と言って渡してやったところ

「これで父の日のプレゼント作るからね!」

満面の笑みで洗剤をつけて洗い始めるではないか。し、しまったああああ。

「あ、ああ、楽しみにしているよ…」

とっととバキッと折ってでも捨てれば良かったがトキ既に孵化し、じゃなかった時既に遅し。僕の時はどんな不思議オブジェ・謎アートが出来上がるのだろうか。今のうちに、どんなモノを貰った場合にも、無難に使うことが出来る褒め言葉を考えておかねばなるまい。

我が家では母の日と父の日がゲイジュツの日になりそうである。

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05月15日(火)
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