ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■フラワーショップで大ワラワー。
まだ書いていない母の日の出来事があった。
昼間、とある用事で子供達とチャリを走らせていたら
「こんちは!」
道端で突っ立っていた男性に声をかけられた。慌てて振り返ると娘・R(8歳)の友達のパパさんであった。
「あれ、こんなところでどうしたんですか?」
引き返して挨拶すると
「今日、母の日だからね」
パパさんが立っていたのは花屋の前だったのだ。そして店の中を覗くとRのお友達ちゃんが花束を買おうとしている。
「いいお父さんですなー」
うちのRと息子・タク(6才)は、既に思い思いのプレゼントをあげていた。使い古しのエンピツだったり、謎の意味不明なオブジェ風の折り紙だったり、と、モノそのものはちょっとアレだけれども、誰にも言われないうちから
「ママにプレゼントを贈ろう」
と動いていたので、その気持ちがウチのこのわりには立派だなあ…、と思い、それが一番価値があることだよ、とオヤジ的には満足していた。
しかし母の日といえばやはりカーネーションだから、子供達のプレゼントに文字通り花を添えないとなあ…と、花屋で暖かく子供を見つめるパパさんを見てすっかり考え直してしまった。
とりあえず用事があったのでお友達親子とは別れ、
「帰りに君達もママにお花買っていくか?」
と聞いてみると
「うん!」
ふたりとも顔を輝かせた。なので
「そうか。じゃあ買おう。もちろん君達がお金を出すんだぞ」
一番大切なことをボソッと付け加えると
「えー!なんでよ!」
ふたりは一揆を起こすような勢いで反対したが
「ひとに買わせたプレゼントなんて全然感謝の気持ちがこもってないぞ」
と諭すと
「じゃあわかったよぅ」
絶対分かってないだろうがとりあえず一揆は治まった。で、帰り道、花屋に寄ってみると稼ぎ時なだけあって、母の日用のカーネーションやらバラやら花束が並んでいた。
「これでいいんじゃないか」
可愛らしい花束600円也を手にとって見せると「うん!」と頷くふたり。
「おうち帰ったら君達のお年玉貯金からひとり300円ずつもらうからね」
「えー!」
具体的な金額を言ったところで身銭を切られる実感が湧いたためか、再び一揆が始まったので僕は「まあ、いっか」と折れてしまった。こんな花屋の中で揉めるのは恥ずかしいし、まだこの子達にはお小遣い制を導入してないので、そういうのは始まってからでいいかなあ…と甘くなってしまったのだ。
「じゃあお小遣いを貰うようになったら、こういう時は自分のお金で買うんだよ」
「はーい」
返事だけはよいふたりは花束を取ってレジに並んだ。同じように母の日用の花を買いに来た小中学生が何人も先にいるのだ。しばらく待ってなければならなかった。その間、Rが僕の腕を引っ張って
「パパ、これすごいの。七色のバラだよ」
レインボーローズと書かれたバラを指差した。
「ああ、これはね、色が付いた水を吸わせてこういう風にするんだよ」
「これもママに買ってあげたら」
Rは無邪気に言うが、値段を見たら1本850円だった。たっか!七色のバラって高いんだな…紫のバラのひともビックリだろ…と驚いていると、今度はタクが
「パパー、こっちの方がキレイでいいよ」
花嫁がぶん投げる用みたいなブーケを指差した。
「ああ、本当にキレイだねえ。いいねえ」
「3980円だって!買って!」
「ふざけんな!」
ふたりとも自分達の懐が痛まないと分かった途端にコレである。600円出してやるだけありがたいと思え!
花束には店員さんがかわいいリボンを結んでくれた。
「ふたりで『ママありがとう』って渡すんだぞ」
文字通りふたりに花を持たせる。
「はーい。パパの日もちゃんとあげるからね!」
「ああ、ありがとう」
そう言われるウチが花なのさ。
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05月16日(水)
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