ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■捨てる紙あれば拾う紙あり。
朝、仕事に行こうとしたら
「そこにあるの持ってって!」
玄関にドサッと置かれている新聞や雑誌の束を回収場所に持って行けと嫁が言う。
古新聞古雑誌古女房ってか…と持って行こうとしたら以外と量が多い。
「Rとタク。手伝え」
娘・R(8才)と息子・タク(6才)にも一部持たせることにした。
「えー!」
と言いながらもエッチラオッチラと持って行く。
僕が住む地域では、普通に紙ゴミの回収日はあるけれども、それとは別に月2回、地元の資源回収業者が新聞・雑誌・ダンボールに限り回収しているのだ。
リサイクルのためには普通の紙ゴミの日よりも、この月2回の資源回収日に出す方がエコであり地球に優しい。地球と恥丘には優しくすべきなのだ。
ゴミを出す場所もいつもと違い、ゴミ置き場から道路を挟んで向かい側になる。資源回収日になると回収場所を示す黄色い案内板が出ているので、そのそばにドサドサとと置く。
「パパ、置いたよ!」
「はい、ありがとう」
これでミッションコンプリート…と思いきや、僕らを見ていた人物がいた。
「梶林さん!」
僕らが住む貧乏長屋の大家さんであった。なんだ、何か用なのか。家賃払い忘れてるとか…いや、今月はちゃんと払っているから大丈夫だ、などとビクビクしながら
「おはようございます!」
とりあえず爽やかに挨拶すると
「今日は紙ゴミの日じゃないよ!それにゴミ出すところもそこじゃないよ!」
と注意されてしまったではないか。えー。だって嫁がが出せって言ったんだもん…。Rとタクも「どゆこと?」という目で僕を見ている。
「いえ、今日は紙ゴミの日ではありませんが、月2回の資源回収の日でして…」
こんなこと僕なんかより毎朝ゴミ置き場を掃除している大家の方が熟知しているだろうに…と釈迦に説法な気持ちになりながらも弁明したら
「え、そうなの?」
意外なことに「ホントに?」みたいなリアクションをかまされた。ちょうど
「こちらは資源回収車です。9時までに指定の場所にお出し下さい」
と、資源回収の軽トラがのろのろと巡回して来たので
「ほら、回収車が来ました」
そう大家さんに説明したところ、
「ふーん、とにかく紙ゴミ回収の日とは別ってことね?」
「そうです」
大家さんは僕らが出したものが軽トラの荷台に載せられていくさまをシゲシゲと眺め、納得したのか家の中に引っ込んで行った。ああよかった。不法投棄親子の誤解を受けるところであり、Rとタクにも僕が正しいことが証明された。
夜、家に帰ってから
「まさか大家さんが知らないとは…」
嫁にこのことを話すと
「資源ゴミの回収日って、回覧板で知らされるんだよ!」
その回覧板は大家から回ってくるわけで。
「ま、僕らがココに来た時から相当のおじいちゃんだったから…」
もしかしたらそういうことなのかもしれない。
月2回の古新聞古雑誌回収日。
僕も月2回ぐらい嫁の前で古ちんになりたい。
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04月13日(金)
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