ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■バレンタインなくしたいん。
仕事から帰って来ると、娘・R(8才)と息子・タク(6才)が嫁の指導の下、チョコを作っていた。
ふたりとも一生懸命で、まず真っ先にタクが
「ママって書いたんだよ」
ホワイトチョコで「ママ」と書かれたお手製のチョコを見せてくれた。「逆チョコ」というやつであろうか。男が手作りのチョコを女にあげるのだ。逆チョコ…嫌な響きである。「給料の3か月分」や「ホワイトデーは3倍返し」等に似た禍々しさを感じる。
ここ数年で製菓業界が逆チョコを流行らそうとしている気配があるが、それを間に受けて贈ったところで拒否られたら目も当てられない。イケメンでない男はそれぐらい考えれば2秒で分かるはずであり、そんなリスクをむざむざと負うことはしないだろう。チョコだからって甘い罠にはそうはいかんざき、なのである。
日本のバレンタインは、女性から好きな男性へ愛を込めて贈る…というのが元々の設定だったのに、義理チョコ、友チョコ、そして逆チョコ、と、どんどん後付けで意義増えて、誰が誰に対しても贈っても良い、いや、むしろ贈るべきだ、という入り乱れた状態になってしまうと、盆暮れの挨拶のような単なる季節のいち風習になってしまうのではないだろうか。
特にモテない男は本来の定義である本命チョコをもらうという、最大のおいしい思いを味わえないまま「ああ年賀状書かなきゃ…」みたいなかったるい負担だけ増えてしまって、自分がお菓子業界のおいしいエサになってしまう。
しかしそれはモテない男のひがみ・理屈であり、男前がやれば逆に効果倍増なんだろうなあ…。その証拠にタクが
「ママ、これあげる」
と先程のチョコを嫁にあげたところ
「きゃー、うれしー」
嫁は狂喜して
「ほらほら、ちょっとこのチョコ持ってこっち向いて」
記念写真まで撮る始末。こうして行動力のあるイケメンはますますモテていくのだろう。
「パパー、これあげる」
一方、僕はRはハート型のチョコをもらった。親指と人差し指で輪っかを作ったぐらいの小さなチョコだけれども、ホワイトチョコで「R パパ」と書かれていて、僕への愛が溢れているような作品であった。
「ありがとう。おいしいよ」
1コだけだったけど、一粒入魂で苦労して作ってくれたんだろうなあ…としみじみ味わっていたら、その後似たようなチョコが5コぐらい入った袋を次々に取り出し、
「これはマヤちゃん、これはミキちゃん、これはユウちゃんにあげるの」
お、お友達にはたくさんあげるんだね…。たくさん用意された友チョコを見せられ目の前が暗くなった。別に数が多けりゃいいってもんじゃないけど…。もう、Rにとっては父<お友達なんだろうか…。父はとても寂しい。ちょっとだけ、「死んでしまおう」なんて思っちゃたりなんかしたりして。本命チョコ、義理チョコ、友チョコ、逆チョコ、そして、
島倉チョコ。人生色々。チョコも色々。
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02月15日(水)
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