ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■ 急急如律令
あれは土曜日のことじゃった。
嫁は仕事であり僕が子供達を見ていた。昼の1時から息子・タク(6才)の水泳教室があったので、
「おらー。とっととゴハン食べないと遅れるぞー」
と娘・R(8才)とタクを急がせていた。折りしも外は雨。スイミングスクールまでチャリではなく歩いて行かなければならぬ。先週も嫁に言われたけれども、この子達を急がせるには3分に1回は
「早くしろ!」
と言わなければ全然動かないのである。ずーっとボケーっとしたりタクとじゃれ合いながらだらしなく食べていて、「時間に間に合わせる」という意識が全くない。僕もいい加減繰り返し言うのがバカらしくなったので
「別にもう間に合わなくてもよくね?雨降ってるしめんどいし」
と投げ槍になってしまった頃、ようやく食べ終わって準備できたふたり。この時点でもう10分ぐらいの遅刻を覚悟した。
「はいー。いつもより速く歩いてくださーい」
傘を差しながらちゃっちゃかちゃっちゃか歩かせる。こういう時、タクは素早いのだがRは機動力がないためどうしても遅れてしまう。差が付いてしまい、大通りの横断歩道を渡る時、タクと僕は渡り終わったのだがRはこれから渡ろうとするタイミングで信号が点滅し始めてしまった。
「R!早く来い!」
しかしRはピタリと止まったまま動かず、間もなく信号は赤になってしまった。ああああもうホントにあの子はとろいんだから!と、待ち、やっと青になり渡ってきたRに
「なんですぐ来ないの!」
と叱ったら
「てんめつしたらわたっちゃいけないってならったんだもん!」
ワタシ悪くない!という面構えで反論する。そんなツンとした顔もカワイイなあ…と、ついニヤケてしまう僕であるが、さすがにこの時はちょっとムッとしてしまい、
「それは正しい。正しいけどね、今、僕ら急いでるの。なんで急いでるかというと、タクの水泳教室に遅刻しちゃいそうだからなの。なんで遅刻しちゃいそうなのかというと、君らがふざけながらダラダラごはん食べてたからなの!」
こんな時だけ良い子になったって説得力ねえんだよう…と引き続きケツを引っぱたいてちゃっちゃか歩き、ようやくスイミングスクールに到着した。この時点で既に5分遅刻であった。しかし
「パパ、あと何分ではじまり?」
この場においてもタクが呑気なことを言っているので
「もう5分遅刻なんだよ!早く着替えろ!」
大急ぎで更衣室に飛び込み、水着に着替えさせて「ほれ言ってこい!」とケツを叩くと
「うわあああん!ちこくになっちゃったあああ!うわあああん!」
いきなり号泣するタク。
「泣くんなら最初っからちゃっちゃとメシ食えー!」
泣きたいのはこっちだわ、ということでとっととコーチに引き渡した。はあ…こういうことを何度も繰り返して「遅刻しない」という意識を植え付けないといけないのだろうか…と考えながら、待合室でRと一緒に座ってタクが泳ぐさまを見ていた。
タクはみんなと合流してからはすぐ泣き止んだようで、普通に泳いでいた。Rは僕の横で学校の宿題をやっている。ひとまずは、やれやれだぜ…と一息ついたと思ったらどうやら僕は眠ってしまったようだ。
「パパ、おーきーて」
Rに起こされた時にはもうタクの時間が終わる頃であった。
すなわちスイミングスクールだけに睡魔ーがつきものでしょう。なんちて。
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01月24日(火)
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