ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■寺(テラ)へ…。
先日、初詣に行った寺には、水がおいしいと評判の井戸があった。
井戸と言ってもつるべで汲んだりポンプをキコキコしたりするわけではなく、ちゃんと蛇口が付いていて、ひねれば水が出る。お参りついでにこの井戸目当ての人はたくさんいて、僕らはペットボトルに入れたが、中にはポリタンクを持って来ていた大容量な人もいた。
実際に飲んでみると超うまいってわけではないが、臭みがなく、東京の水にしてはうまいんじゃないのって感じである。持ち帰った水は主に嫁が飲んでいて、
「水がなくなったらウォーキングして汲んできてよ」
などと言う。確かにウチからその寺まで徒歩で往復1時間ぐらいの距離である。そして僕はウォーキングをしていて、1回で1時間ぐらい歩くと決めているのでコースとしてピッタリだ。
「水を汲むっていう目的があればモチベーションも高まるでしょう?」
嫁がコーチにでもなったかのようなしたり顔をして言う。そのまま従うのはなんか悔しいがその通りなのでそうすることにした。
ただ、僕が歩くのは仕事から帰って来てからなので、必然的に夜の寺に入ることになる。暗い境内で、お地蔵さんがぼうっと浮かんでたりしたら、尿が漏れちゃうかも。
そんなちょっと肝試し的な趣で空のペットボトルを入れたリュックを背負い、家を後にしてウォーキングを開始した。
「帰りは水の入ったペットボトルを背負って歩くわけだから歩くのに加えて更に鍛えられるよ」
嫁はこんなこともしたり顔で言っていた。たかが2リットルのペットボトルを背負って歩くだけで鍛えられるのなら、ランドセル背負った小学生はみんなマッチョだっつーの。
さて、粛々と歩いて約30分、寺の隣にあるちょっと大きめの公園に到着した。この公園を突っ切れば寺であり、体が冷えていたので寺に入る前に公園のトイレに入った。公園内は暗かいが公衆トイレだけ煌々と明かりが灯っており、
「ホモのハッテン場みたいだなあ…」
などと考えていたので、唐突におっさんが入って来た時にはかなりびびってしまった。無論僕もおっさんも普通に用を足していただけである。
で、いよいよ寺の境内に突入…。幸い常夜灯があってそれほど暗くはなく、思ったより怖くはなかった。井戸もすぐ発見。しかしその横に明らかに外部の者が作った思われる、
「仏教は最早終わりである」
みたいな批判的で電波的な謎の手書き怪文書が貼られていたのを見つけてしまい、ただでさえ寒くてドリチンになっているちんこが更に縮み上がってしまった。
とっとと水を汲んで帰ろう…と思い、ペットボトルを出して蛇口をひねると…。
水は出なかった。
おそらく夜間は栓を閉めてしまっているのだろう。そりゃそーだ。夜中僕みたいなヤツが忍び込んで水をじゃんじゃん汲み放題だったらえらいことになってしまう。そりゃそーなんだけど、
「けち…」
僕はチラッとそう愚痴ってしまった。空のままのペットボトルをそのままリュックに戻す哀しさよ。僕は井戸に向かってこう叫ぶのであった。
この古井戸は、ものすごーく、古いど!
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01月20日(金)
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