ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■Who's fat?「お前だ」
アル・ヤンコビックという人がいる。

日本で言うと嘉門達夫みたいなポジションなのだろうか。凄い上質なパロディネタを作り上げる人で、昔、マイケル・ジャクソンの「BAD」をもじって「FAT」(デブ)という曲を作った。

ご丁寧にビデオクリップもそっくりなモノを作り、マイケルが颯爽と改札を飛び越えて行く「BAD」に対し、「FAT」ではアルの衣裳も髪型も何もかもオリジナルに似せてあるのに、体型だけ北斗の拳のハート様ばりに丸々と太っているので改札で詰まる、といった徹底的に緻密なパロディギャグがふんだんに盛り込まれていた。

ゲラゲラ笑いながら見ていたものだが、まさか笑えなくなる日が来るとは…。すなわち僕が「FAT」になってしまった。かつて10年ほど前は体脂肪率ひとケタだった。運動大嫌いな僕であるが、その頃はDDR(ダンスダンスレボリューション)に大ハマリしていて、ゲームといえども結構な運動量で、ふくらはぎとか凄く逞しくなっちゃっていた。

しかしそのブームも去り運動量は殆どなくなり、おっさんになると共に代謝が悪くなり、更に禁煙したことも追い討ちをかけてブクブク太ってしまった。

僕の父は細く、僕はずっと父の体格や体質そっくりだったので

「僕はいくら食っても太らないよーん」

と油断していたが大間違いだった。父は野球にソフトボールにゴルフ、と運動大好き人間だったことをすっかり忘れていた。なれば僕も運動をしなければならないだろう…という気持ちになった。

更に僕が痩せなければならない、と決意した決定的なことは…娘・R(8才)である。お風呂からあがって、Rの髪の毛を拭いてやっていた時のことであった。Rの顔がちょうど僕の腹が向かい合うぐらいの感じだったのだが、Rは急に僕の腹に顔を埋め、

「パパのポヨポヨおなか大好きー!」

とモフモフするではないか。

「こら、やめなさい!」

「ぶぶぶぶぶーーー(腹肉に口を当てて息を吹きかけている)」

「やめろっての」

「ぎゃはは!おならみたいー!」

「離れなさい!」

「やだ、お腹大好き」

Rは中年オヤジの出っ腹が好きになってしまった。これからしょっちゅう僕の腹を弄び、将来Rが大きくなってもこの嗜好は変わらず、

「太ったおっさんしか好きになれないの」

というデブ中年フェチになってしまったらなったら…。この恐れが決定的になり、僕は痩せる決意をしたのである。

それに、元々ダジャレが好きなおっさんが太ってしまっては、まるで怪しい外国人のようではないか。

すなわちデブ・スペクターである。なんちて。

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12月20日(火)
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