ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■早くあなたに解体。
近所のとある家の解体工事が始まった。
子供達の通学路の途中にあり、僕も通勤でその道を通るので、子供達と一緒に日毎徐々に解体が進む様子を観察していた。
僕らが通る時は、ちょうど解体業の職人さんがやって来て準備を始めるタイミングなので、実際にぶっ壊すところは見ることは出来ないが、ある日ユンボが登場していたり、次の日壁が半分なくなって、模型ではないリアルな家の断面図が現われたり、子供ならずとも僕でもわりと面白かった。
今朝もちょうど解体業者さんが車から降りて作業に取りかかろうとしていた。それを娘・R(8才)と同級生の女の子が並んで見ている。ふたりは何かヒソヒソと話ながら、それでいてモジモジと恥ずかしそうにしていたので、
「何してるの?」
と近寄ってみたら、ふたりは小さな小さな声で
「せーの、おはようございます…」
どうやら職人さん達に向かって挨拶しているようだった。しかしそばにいる僕でさえようやく聞き取れる、蚊の泣くような声なので、もうガシャガシャと音を立てながら家の中に入って仕事を始めようとしている職人さん達に聞こえるわけがない。
「もっと大きな声で言わないとダメだよ!」
声が小さい!もいっちょ!といかりやばりにけしかけてみたのだが
「え〜」
ふたりともモジモジしてダメであった。これがお調子者の息子・タク(6才)なら
「こんちくわ!」
とか挨拶したりしてすぐフレンドリーになってしまうのだろうけれども。実際、だいぶ前の話だがやはり家を解体しているさまを眺めていたら
「乗ってみるかー」
職人さんにユンボの操縦席に座らせて貰ったそうだ。しかし恥ずかしがりのRと同じような性格のお友達ではちょっとそれ以上のアピールは無理で、モジモジ固まったまま作業の様子を見守っていた。
ただ挨拶しようとする気持ちになったのは、毎日見ている職人さんに親しみを持ったからであろう。僕もそうだっった。僕の場合は大工さんだったが、大工さん達が実家を建てている時、僕も毎日のように行って木の切れっ端とかを貰ったり拾ったりして遊んでいたものである。
タクが将来なりたい職業も大工さんだし、仕事してる職人さんて、頼もしく映るんだよなあ…。
しばらくじーっと見詰めている子供達と僕。っておい、会社と学校間に合わなくなってしまうではないか。
「こら、うっかりしてたけど、そんなに見てるヒマないぞ!遅刻だぞ!」
慌てて子供達のランドセルを引っぱたくと
「えーっ!今何時?」
そうね解体ねー。
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11月26日(土)
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